岩手のニュース

<震災6年>被災地在住外国人を通訳ガイドに

英語で通訳する菅原さん(右から2人目)

 東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市で、在住外国人ら4人が市の通訳ガイドに認定され、活動を始めた。復興や農水産業などの現場で、自らの経験も交えて震災の教訓やまちの魅力を視察者や観光客に伝える。市は訪れる外国人旅行者の増加につなげたい考えだ。
 「約7万本の松が津波で流され、1本だけ残った」。初日の2月18日、「奇跡の一本松」の前で、陸前高田市のパート菅原マリフェさん(52)が国内から訪れた外国人5人に英語で説明した。
 フィリピン出身の菅原さんは結婚して約20年、市内で暮らす。震災で自宅が被災し、同僚を亡くした。
 この日は市内の震災遺構の旧道の駅や完成した防潮堤を5人と回り、被害や復興状況を通訳し、あの日の体験も話した。今は駐車の際、すぐ避難できる車体の向きを心掛けているとも語り、「どこに逃げるか事前に考えてほしい」と伝えた。
 通訳ガイドは、国家資格がなくても市内限定で有償の活動ができる。市が昨年6月、東北で初めて構造改革特区の認定を受けた。
 ガイド養成のため市は希望者を募り、漁業や農業、地理歴史、復興事業といった一般知識や現場実習、通訳の心構えなどの研修を約3カ月実施。試験を行い、合格した菅原さんら外国出身者3人を含む計4人を英語と中国語のガイドに認定した。同市の一般社団法人「マルゴト陸前高田」が企画する研修ツアーなどで活動する。
 市内を訪れた外国人旅行者は2015年度が約400人。市は18年度までに年間700人を目指す。その通訳は市職員が担ってきたが、本来業務の負担になっており、新たに養成する必要性が高まっていた。市の担当者は通訳ガイドを「仙台や東京などから通訳を伴うより安く、地元のことを知っている」とPRする。
 通訳ガイドは当面、4人が担う。震災当時の強烈なにおいと音を失った世界を忘れられないという菅原さん。「陸前高田のために参加できてうれしい。災害に遭ったとき、何をすべきか教えたい」と話している。


2017年02月28日火曜日


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