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<原発事故>休校の富岡高 バド部は私の財産

福島県富岡町の子どもたちが参加するジュニアクラブで練習する安斎さん=2月18日、郡山市

 福島県立富岡高は東京電力福島第1原発事故の影響で本年度で休校となる。地元富岡町出身の安斎綾夏さん(18)は1日、万感の思いで卒業式に臨む。所属したバドミントン部は全国屈指の強豪。各地から集まったトップ選手との実力差は明らか。それでも悔しさをばねに走り続けた。「決して最後まで諦めない」。「チーム富岡」の一員としての思いが、かけがえのない財産となっている。
 「試合ではなかなか勝てなかった。でも、少しはチームに貢献できたかなと思っています」
 福島県猪苗代町で2月25日にあったバドミントン部の活動報告会。チームメートや保護者を前に3年間の歩みを振り返った。最後は涙交じりになった。
 10歳でバドミントンを始めた。富岡高など主催のジュニア選手育成スクールでは、2歳年上の大堀彩選手(20)=富岡高出、トナミ運輸=をはじめ憧れの選手ともシャトルを交わした。
 原発事故は小学6年のとき。郡山市へ避難後も、富岡の自宅から持ち出したラケットで練習を続けた。
 「地元の高校で、もっと強くなりたい」。2014年4月、最後の新入生として富岡高に入学。バドミントン部の1年生7人でただ一人の富岡出身だった。
 チームメートにはナショナルチームに選ばれる実力者もいる。「天と地ほどある実力差は最初から分かっていた」
 原発事故で拠点を移していた猪苗代町で、必死に食らい付いた。放課後に時間を見つけ、黙々と筋力トレーニングなどに励んだ。
 出場機会はほとんどなく、悔しさを味わった。全国高校総体(インターハイ)では一度もベンチ入りできず、サポートに回って観客席から声援を送った。
 それでも1年時にフル出場した全国高校選抜は団体女子で準優勝。個人成績は3年になり、女子ダブルスで県ベスト16まで上げられた。
 「他の高校に進んでいたら、ここまで成長できなかった。諦めずに頑張ってよかった」と笑顔を見せる。
 バドミントン部は既にふたば未来学園高(福島県広野町)に引き継がれ、新たな歴史を刻み始めた。「富岡高は休校しても『チーム富岡』の伝統は、きっと後輩たちがつないでくれる」と希望を託す。
 自身も次の未来へ踏み出す。東京女子体育大に進学する。
 「将来は福島に戻って教員になり、たくさんの子どもたちにバドミントンとスポーツの楽しさを教えたい」
(郡山支局・吉田尚史)


2017年03月01日水曜日


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