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<震災6年>首長 復興五輪はどうあるべきか

2020年に東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設予定地(下左)=2016年11月6日、東京都新宿区

 東日本大震災の津波被害や東京電力福島第1原発事故で避難区域に指定された岩手、宮城、福島3県の被災42市町村の首長を対象に行ったアンケート(福島県川俣町長を除く41人が回答)で、「復興五輪」について考えを聞いた回答(自由記述)は以下の通り。

■岩手県■■■■■■■■■■■

 ▽遠藤譲一久慈市長…復興五輪を掲げる以上は、復興の現状やこれまでの歩み、感謝の思いなどを海外へ伝えるとともに、被災地への経済効果なども具体的に示していくべきである。またオリンピックにより復興そのものが遅れることがないよう、具体の対策を取るべきである。

 ▽小田祐士野田村長…分からない。

 ▽柾屋伸夫普代村長…東日本大震災からの復興を後押しするとともに、復興した姿を世界へ発信する。聖火リレーの被災地横断や、五輪参加者の宿泊場所などで被災地へ五輪参加者を呼び込む。復興五輪を被災地でも実感できるとともに世界への復興アピールもできる。

 ▽石原弘田野畑村長…復興五輪の理念が、東日本大震災から復興した東北の姿と被災地支援への感謝の気持ちを全世界に発信することであれば、地方版の復興五輪計画の策定と実現のための財政支援が必要ではないか。さらには、五輪の普遍的理念の実現に向けて「五輪の教育的価値」を若者などに教え、学ぶ取り組みを全国的に展開すべきだと考える。

 ▽山本正徳宮古市長…国が一つにまとまって対応すること。

 ▽平野公三大槌町長…復興五輪と掲げてはいるが、実際、競技会場の議論が多い。震災からの復興としての具体的な内容を明確にすべきだ。

 ▽野田武則釜石市長…東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、復興まちづくりの工事施工における人材、資材不足の発生などが懸念される面もあるが、世界中から頂いた支援に対して感謝を表明する場とすること、また、さらなる被災地の復興・地域の創生へとつながるものとすることを目指すべきだ。そのためには、開催の時まで着実に復興を進展させること、また「スポーツの力」による社会的・経済的な効果が被災地へも波及するような仕組みを構築することが必要である。

 ▽戸田公明大船渡市長…2020年の東京オリンピックは被災地だけで行われるものではない。誰が言い出したのか分からないが、復興五輪という表現は使わない方がよい。
 1964年の東京オリンピックは、日中戦争・太平洋戦争での敗戦から国際社会に復帰するとともに、高度経済成長を経て先進国の仲間入りをした時期における、国際社会へのお披露が目的だった。あれから56年後に開催される今回は、先進国として成熟した姿と東日本大震災から復興した東北の被災地を世界にアピールすることはできると考える。

 ▽戸羽太陸前高田市長…東京でオリンピックが開催されることは大歓迎である。しかし、復興五輪だという意識は全くないので分からない。

■宮城県■■■■■■■■■■■

 ▽菅原茂気仙沼市長…世界中に復興の様子を発信。世界中からの訪日客を復興地に誘導。スポーツや交流イベント、外国人の来訪を継続的な復興につなげる工夫が必要。

 ▽佐藤仁南三陸町長…被災地に世界中の多くの人が訪れ、知ってもらうことは重要であるが、人が集まりすぎることで、復興作業が滞ってしまうことが懸念される。「五輪」のためではなく「復興」のためになるような大会にすることが大事であると思う。大会で終わりではなく、継続して人が訪れるようにすること。

 ▽亀山紘石巻市長…生まれ変わった被災地の姿を全世界に発信することで、復興による平和の力を未来へ継承する。石巻の「南浜津波復興祈念公園」を聖火リレーのスタート地点とし、聖火リレーを通して「支援への感謝」と「復興への強い意志」を世界中の人々に発信する。海外から被災地に訪れる方が増加する仕組みや多国語表記などによる受け入れ態勢の整備が必要だ。

 ▽須田善明女川町長…20年東京大会が「復興」五輪という位置付けにもなったのは、大震災による世界中からの支援に対する感謝として、被災地の復興後の姿を示していきたい、ということだと思うが、あくまで「東京」五輪であって、決して「被災三県」五輪ではなく、それは一側面である。いい意味での利用・活用を考え、努力するのは本来当事者側であって、インバウンドでの観光振興などを狙って組織委などに過剰に期待するのは方向違いでは、と思う。

 ▽阿部秀保東松島市長…「復興五輪」の位置付けは素晴らしいが、理念のみが先行し、具現化に向けた取り組みが見えないことが課題ではないか。各自治体の提案を待つのではなく、積極的に提案できるような態勢整備が必要と考える。

 ▽佐藤昭塩釜市長…被災地でより多くの競技が開催され、復興状況が世界に発信されることが、防災意識の醸成や被災地の活性化につながり、被災地の住民が競技関係者や観客との交流を通じて、郷土愛や復興への意欲をさらに高めるような五輪であるべきだ。
 その実現に必要なことは、復興五輪の理念を被災地の住民が賛同し、共有できるようなものとするとともに、競技の開催に協力し、十分な交流が行えるよう、被災地住民の理解を得る努力を惜しまないことだ。

 ▽寺沢薫七ケ浜町長…東日本大震災で世界中から支援を受けた被災地が、オリンピックを通して復興が進んだ姿と感謝の気持ちをアピールできるものでなければならないと思う。

 ▽菊地健次郎多賀城市長…復興五輪と位置付けた以上、被災地への予算や、人的支援も併せて確実なものにするのが政府の仕事と思う。

 ▽奥山恵美子仙台市長…スポーツを通じて、被災地の人々に感動を届けるとともに、観光客などの被災地への呼び込みや大震災の記憶の風化防止を図るなど、大会がもたらすポジティブな影響が被災地にもたらされるよう取り組む必要がある。

 ▽山田司郎名取市長…国内のみならず国外からも多くの方々が東北に訪れてもらう機会になると思うが、それが被災地の復興にどう影響するのかが被災した市町村には伝わってこない。オリンピック開催後も見据えた被災地への誘客を目指すものなのか、さらなる復興の加速化を図るものなのかなど、理念をもう少し明確化するべきであり、「復興五輪」という肩書だけが独り歩きすることのないよう被災地域との情報交換・共有がもっと必要である。

 ▽菊地啓夫岩沼市長…復興最優先であり、そのための財源を五輪の会場整備に充てることは被災者の理解を得られない。復興につながる具体的な中身を示すこと。被災地の復興状況を視察してほしい。

 ▽斎藤貞亘理町長…被災地との協働事業、参画。被災地での競技開催。

 ▽斎藤俊夫山元町長…「復興五輪」となっているが、被災地にとってどのような位置付けになっているか不明確である。被災地の復興の妨げにならないこと、被災地の復興に役立つことを望みます。

■福島■■■■■■■■■■■

 ▽立谷秀清相馬市長…「被災地の情報発信」「費用の圧縮」「環境に配慮」

 ▽桜井勝延南相馬市長…被災地との関係を明確にすべきだ。

 ▽伊沢史朗双葉町長…復興五輪とは、どの場所のための復興なのか、明確にするべきだ。その場所に住む住民が実感できることが必要だ。

 ▽渡辺利綱大熊町長…被災地の「今」を世界に発信し、知ってもらう機会とすること。そのためにも日本全体で盛り上げようという機運が必要と考える。

 ▽冨塚宥〓(〓は日ヘンに景)田村市長…全世界の人々に被災地の現状と復興の取り組みについて、現地に赴き生の姿を見ていただく機会にしてほしい。
 アスリートからすれば五輪会場などは施設や条件が整った場所を望むのは当然である。各国の報道機関や関係者に被災地の現状を見てもらうことや、試合を終えた選手たちに被災地に訪れていただき、被災地の人々と交流することができれば、復興のアピールや風評被害の払(ふっ)拭(しょく)に一役買うのではないかと思う。


 ▽松本幸英楢葉町長…アスリートや観客を被災地に誘導し、現状を知ってもらうきっかけをつくる仕掛けが必要だ。

 ▽遠藤智広野町長…東日本大震災および原子力事故からの復興に向けて被災地が世界各国から支援を頂き頑張っている姿を五輪の競技を通して、国内外に発信し、世界平和につなげるべきだ。被災地に対しては国の継続的な支援が必要。

 ▽遠藤雄幸川内村長…震災を乗り越える現状を世界に向けて発信し、被災地を実際に訪れてもらう。


2017年02月28日火曜日


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