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<さくら野仙台破産>権利複雑 再開発の壁に

旧東洋ビル跡地(左)の商業ビル建設が続く中で、さくら野百貨店仙台店が破綻した

 さくら野百貨店仙台店(仙台市青葉区)の運営会社エマルシェ(同)が27日、自己破産手続きの開始決定を受け、約70年の歴史に幕を閉じた。突然の閉店に解雇された従業員は言葉を失い、取引先の多くは債権回収ができない状況に陥った。JR仙台駅前の一等地に起きた破綻劇。その余波が地域経済に与える影響は大きい。

◎創業70年に幕(下)暗雲 

「目玉施設を」
 JR仙台駅西口周辺は昨年、活況を呈した。3月にエスパル仙台東館、7月には仙台パルコ2が相次いで開業。大型商業施設の誕生で求心力を増したエリアだが、さくら野百貨店仙台店の破綻でにわかに暗雲が立ち込めてきた。
 二つの商業施設の効果で、仙台駅・東西自由通路の通行量は大幅に増えた。これに対し、さくら野仙台店付近の再開発は思うように進まず、駅周辺でも二極化がささやかれる。
 隣接し、2015年3月に閉館した旧仙台東洋ビルの跡地には地上10階、地下1階の商業ビルが建設中だ。量販店のドン・キホーテなどが入るとみられるが、工期完了は来年2月末と約1年先になる。
 さくら野仙台店向かいの仙台ホテル跡地も本格的な再開発へ向けた動きは見えてこない。オリックス不動産が11年に複合飲食施設「EDEN(エデン)」をオープンさせたが、あくまでも「暫定」営業だ。
 さくら野仙台店に近い名掛丁商店街振興組合の高橋昭行理事(49)は「商店街活性化のためにも、近辺に目玉となる商業施設が必要」と顔を曇らす。
超一等地に穴
 さくら野仙台店前の「青葉通」は60年連続で東北の路線価トップを誇る。それだけに不動産、デベロッパー関係者は再開発の行方に注目するが、一筋縄では行かない事情が絡む。
 敷地内は十数の土地区画に分かれ、所有者は複数いる。建物も同様で、加えて店舗部分は複数のビルをつなぎ合わせた複雑な構造になっており、「使い勝手が悪い」(市内の不動産関係者)と指摘されている。
 帝国データバンク仙台支店の紺野啓二情報部長補佐は「土地や建物を巡る当事者が多く、権利関係が複雑なのが仙台店の特徴。再開発の可能性が高まるが、調整には時間がかかるだろう」と解説する。
 テナントだけの営業では所有者は十分な賃料を得られない。破綻を機に、再開発ムードの高まりに期待する声もある。商店街の関係者は「具体的な再開発計画が出てくれば、反対は出ないだろう」と読む。
 仙台市中心部は週末ごとに他県ナンバーの車が列を成す。「仙台の顔」とも言える超一等地に大きな穴が開いた。「空洞化が長期に及ぶのは絶対に避けたい」。仙台商工会議所幹部のうめきにも似た一言が、事態の深刻さを物語っている。


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2017年03月02日木曜日


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