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<私の一歩>自治会の土台固め図る

自治会の役員会であいさつする加納さん=宮城県多賀城市鶴ケ谷

 震災からもうすぐ6年。さまざまな形で自分の一歩を踏み出した人たちの今を取材した。

◎震災6年(2)加納政市さん=宮城県多賀城市=

<災害住宅に設立>
 1月29日、宮城県多賀城市で最大の災害公営住宅の市営鶴ケ谷住宅(274戸)で、住民自治会の設立総会があった。昨年3月の入居開始から10カ月。初代自治会長に就任した加納政市さん(76)は「(入居者が500人を超える)鶴ケ谷は規模が大きく、市民から動向が注目されている。良い自治会になるよう努めたい」とあいさつした。
 多賀城市を中心に50年以上建設業に携わり、顔も広かった。仮設住宅では、自治会長として支援物資の分配や催事などに取り組んだ。加納さんの人柄を慕い、鶴ケ谷の災害公営住宅を選んだ人もいる。
 入居直後から自治会長へと推す声があった。「まだ仕事をしている。若い世代に任せたい」と固辞したが、自分が役立てるのならと引き受けた。
 石巻市の旧雄勝町出身。1962年に親類を頼って多賀城市に出てきて、建設業に携わった。市内に自宅と事務所を構えていたが、東日本大震災の津波に襲われた。
 家族は無事だったが自宅を失った。借地だったため、年齢を考えて自宅再建は断念し、災害公営住宅で妻(79)、次男(48)と3人で暮らす。
 同じ寄り合い所帯でも、大規模な災害公営住宅になると自治会活動に無関心になりがちだ。「外に出られない事情がある人もいるだろう」と気遣う。「仕事柄、行政に知り合いも多い。調整役として自分だからできることもあると思う。まずは自治会の土台を固めたい」と前を向く。

<神楽上演に意欲>
 住民の見守りは、敷地内に常駐する社会福祉協議会の助けを借りるが、共益費の徴収、共有施設使用のルール作りなど、やるべきことは多い。特に近隣町内会と関係を築いていくことは、地域に解け込むためにも大切だと感じる。「自治会運営は、これからが試される」と気を引き締める。
 雄勝の実家も震災の津波で全壊し、弟夫婦は今も仮設暮らしだ。古里の復興も道半ばだが、自治会運営が軌道に乗ったら、公営住宅で古里雄勝の伝統芸能の「雄勝法印神楽」を上演したいと考えている。
 同級生が神楽保存会の会長を務めている。「互いの地域が頑張ろうという気持ちになれればいい」。その日が来るのを待つ。(多賀城支局・佐藤素子)


2017年03月02日木曜日


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