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<秋田にぎわいは今>人の流れ取り込めず

7月で開業から5年を迎えるエリアなかいち

 任期満了に伴う秋田市長選(4月2日告示、9日投開票)の告示まで、1カ月となった。市政の重要課題の一つが、市中心部のにぎわい創出。市が作成した中心市街地活性化基本計画に基づき、中通1丁目の地権者らが再開発事業区域「エリアなかいち」に商業施設などを2012年に開業した。人通りは戻りつつあるものの、周辺への経済波及効果は限定的だ。中心市街地の現状と課題、今後の展望を探った。(秋田総局・藤沢和久)

◎秋田市長選告示まで1カ月(1)苦戦する商業

 「エリアなかいち」にある4階建ての「にぎわい交流館AU(あう)」。ホールや研修室などを備える多目的施設の1階オープンスペースは、放課後になると高校生らでにぎわう。隣接する「にぎわい広場」では週末に多彩な催しが開かれ、家族連れなどが訪れる。
 なかいちは、百貨店やスーパーが閉店し衰退する市中心部を再生させるため、市が実施した中心市街地活性化基本計画(1期)の目玉事業。AU、にぎわい広場のほか、飲食や農産物直売など19店が入る商業施設「@4の3」、千秋明徳町から移転、新築された県立美術館などからなる。7月に開業5周年を迎える。

<催しの効果実感>
 JR秋田駅西口となかいちを結び、さまざまな業種の店が並ぶ仲小路で陶器店を営む仲小路振興会副会長の境田幸子さん(66)は「なかいちで催しがあれば人は来る」と語り、にぎわい創出に一定の効果があることを認める。
 実際、市が14年に実施した自転車と歩行者の通行量調査によると、仲小路は、なかいちの施設が開業する前の11年の1日平均1864人から14年は5330人と約2.86倍に増えた。
 「でも、客として取り込み切れていないのが実情だ」と境田さんが言うように、周辺商店への経済波及効果は小さいのが現状だ。

<核テナント撤退>
 経済産業省の14年の商業統計によると、市全体に占める中心市街地の小売業の売り上げは9.7%。07年の13.2%から低下しており、商業の地盤沈下に歯止めがかかっていない。
 それは、市がなかいちの中核と位置付ける商業施設も同様だ。核テナントの総合食品売り場は、運営会社の秋田まるごと市場(秋田市)が赤字を理由に14年3月末で撤退、他のテナントも入れ替わるなど苦戦を強いられている。
 計画に反対だった市民からは、苦戦は当然との声もある。秋田市新屋の無職佐藤毅さん(69)は「例えば生鮮食品にしても、JR秋田駅近くには店数の多い『秋田市民市場』がある。催しのついでに寄るならともかく、駐車場代を払ってまで、なかいちに買い物に行こうと思わせる魅力がない」と言い切る。
 なかいちを中心とした人の流れを、中心市街地の活性化にどう結び付けるか。
 秋田大大学院理工学研究科の日野智准教授(土木計画)は「秋田駅前やなかいちへ催しや買い物に来る人は、寄り道せずに帰る人が多い」と指摘。その上で「他の店や施設へ立ち寄ってもらえるよう、例えば、無料時間の長い駐車場の整備や各店の情報が載ったチラシの配布といった、ハード、ソフト両面の取り組みが必要だ」と話す。

[中心市街地活性化基本計画]中心市街地のにぎわい創出のため市町村が作成した計画を内閣府が認定。認定を受けると、国の補助金などが重点配分される。秋田市は2008年7月〜14年6月に第1期計画を実施。同市中通1丁目の約1.7ヘクタールを再開発し、総事業費約136億円の8割に当たる約112億円を公費で賄った。第2期計画は17年4月実施予定で、内閣府に申請している。


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2017年03月02日木曜日


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