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原発被災地を活写 テロ犠牲監督作品公開へ

映画について語る鵜戸さん(右)と松村さん=2月15日、福島市のフォーラム福島
撮影に挑むジル監督=2015年、福島県内

 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の避難区域などで撮影したドキュメンタリー映画「残されし大地」が11日から、東京などを皮切りに全国公開される。ベルギー出身のジル・ローラン監督は完成直前の昨年3月、帰国中にテロに巻き込まれ、46歳で亡くなった。
 福島市で2月中旬にあった先行上映会で、監督の妻の鵜戸玲子さん(47)=東京在住=は「人生が突然一変しても日常は続いていく」と、夫が見た福島の風景と自らを重ね合わせた。
 映画は2015年の8月と10月に撮影された。避難区域の風景やインタビューで構成。このうち一人は富岡町の松村直登さん(57)。避難区域となっても地元にとどまり、置き去りにされた牛やダチョウを世話する日常などを追った。
 南相馬市小高区から避難した女性が同郷の友人と談笑する場面では、放射線に対する考え方がそれぞれ異なることも垣間見える。
 ジル監督は映画などの音声担当のサウンドエンジニアとして欧州で活動。妻の故郷の日本で、原発事故と闘う松村さんの生きざまにほれ込み、映画製作を決めた。昨年3月、ベルギーで同時テロが発生。ブリュッセルの地下鉄駅であった自爆テロに巻き込まれて命を落とした。今回の初監督作品が遺作となった。
 先行上映会で鵜戸さんは、映画はフランス語の原題では「見捨てられた大地」だったことを紹介。作品から生命力も感じられるため「残された私たちも強くありたいと思い、邦題を変えた」と説明した。さらに、夫が通った福島を訪れたことに「心が震えた」と語り、今後の全国上映に向けて「夫の目に映った風景を多くの人に見てほしい」と期待。同席した松村さんは「作品が後世に伝えられれば事故の戒めになる」と話した。
 映画は1時間16分。11日は東京など3カ所で上映され、4月8日のフォーラム福島(福島市)など全国で順次公開される。連絡先は配給会社の太秦03(5367)6073。


2017年03月02日木曜日


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