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<秋田にぎわいは今>保存ありき 疑問の声

市が活用を検討している旧県立美術館

 任期満了に伴う秋田市長選(4月2日告示、9日投開票)の告示まで、1カ月となった。市政の重要課題の一つが、市中心部のにぎわい創出。市が作成した中心市街地活性化基本計画に基づき、中通1丁目の地権者らが再開発事業区域「エリアなかいち」に商業施設などを2012年に開業した。人通りは戻りつつあるものの、周辺への経済波及効果は限定的だ。中心市街地の現状と課題、今後の展望を探った。(秋田総局・藤沢和久)

◎秋田市長選告示まで1カ月(下)旧美術館活用

 秋田市中心部・中通1丁目の再開発事業区域「エリアなかいち」の近くに、旧秋田県立美術館(秋田市千秋明徳町)が立つ。県立美術館が2013年、エリアなかいちに新築移転したため、門は固く閉ざされている。

<創作活動の場に>
 市は、旧美術館の一帯を第2期中心市街地活性化基本計画(2期中活)の「芸術文化ゾーン」に位置付ける。旧美術館は県内外の造形作家、舞踏家や市民の創作活動の場などに活用する予定で、整備費は約8億5000万円を見込む。県と連携して県民会館を解体後に建設する新文化施設とともに、2期中活の主要事業となる。
 だが、旧美術館の活用を巡っては、市議の中に批判的な声がある。類似の施設があることに加え、「市が活用を決めるまでの過程に不透明さがある」(市議の一人)からだ。
 旧美術館は1967年に開館。洋画家藤田嗣治と親交のあった同市の美術収集家平野政吉(1895〜1989年)が建設費の一部を寄付した。日本の神殿を思わせる屋根などの外観が「千秋公園の景観に合う」と愛着を持つ市民も多かった。
 県は旧美術館を取り壊す意向だったが、市民団体からの保存の要望を受け、活用策の検討を市に求めた。市は耐震性の問題や老朽化が進んでいることなどから活用には消極的だった。
 だが15年9月、市は旧美術館を引き受けると発表した。唐突にも見える市の方針転換に、複数の市議は「旧美術館の扱いに困った県に押し付けられたのではないか」と疑問を抱く。

<耐震補強1億円>
 老朽化対策も課題だ。市の試算では今後15年使うとした場合、耐震補強にかかるのは約1億円。整備費の約8分の1を占める。
 藤田信市議は「旧美術館の建物ありきの計画なら必要ない。15年で新しい施設が必要となれば、新たな負担を後世に残すことになる」と批判。これに対し、市企画調整課の斎藤一洋課長は「15〜20年で施設を活用する流れができれば、さらに維持するなどの検討はできる」と説明する。
 市議会最大会派の秋水会は、千秋公園内にある市立佐竹史料館(58年完成)の移設案を出す。鎌田修悦市議は「史料館は手狭で史料を展示しきれていない。旧美術館に移せば、新文化施設を訪れた人が立ち寄りやすくなる」と説明する。
 旧美術館の活用方法はどうあるべきなのか。2期中活を審議する市議会建設委員会委員長の倉田芳浩市議は「建設委でも議論は深まっておらず、話が独り歩きしている」と困惑。「施設を中心市街地に集約する考えは理解できるが、旧美術館は県の施設であり、必要なら県が整備すべきではないか」と語る。

[第2期中心市街地活性化基本計画] 2017年4月〜22年3月に実施予定で、16年12月に内閣府へ認定申請した。主にJR秋田駅西側の約115ヘクタールが対象区域。「芸術文化」「商業・業務」「飲食」「業務・居住」「交通拠点・情報発信」の5ゾーンに分け、それぞれターゲット層を絞り込んだ施設の整備や催しの開催といった取り組みを進める。


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2017年03月03日金曜日


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