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<震災6年 まち再生>空き地膨大活用不安

中心市街地で4月に開業する商業施設「アバッセたかた」(中央奥)。まち再生の起爆剤になるか注目が集まる=陸前高田市の高田地区

◎正念場迎える被災地(3)岩手県陸前高田

 東日本大震災の津波被害を受けた岩手、宮城、福島の被災3県の沿岸部は、まち再生の取り組みが正念場を迎えている。中心市街地を造り直す大規模な土地区画整理事業は道半ば。現地再建への戸惑い、廃業の危機、地域格差など課題は山積する。震災から6年を迎える被災地の今を追う。

 巨額の国費を投じた新たなまちに、膨大な空き地が生まれる懸念が出ている。

<30ヘクタールが未定>
 東日本大震災で壊滅した市街地を土地区画整理事業で再生させる陸前高田市。2月下旬、市の地権者意向調査で、かさ上げ地約30ヘクタールの利用が未定と判明した。対象面積の60%を超える。
 市は復興計画で、10メートル前後盛り土して市街地を再整備するとともに、高台を組み合わせた事業を決めた。
 施工面積は中心部の高田地区が186ヘクタール、気仙川沿いの今泉地区が112ヘクタール。事業費は計約1182億円に上る。被災地最大規模の事業だ。
 戸羽太市長は調査結果について「区画整理で空き地が出るのは当初からある程度予想された。特に驚きはない」と意外と冷静だ。
 なぜ、こうなったのか。未定の理由は「既に別の場所で生活している」との回答が約25%で最多だった。
 宅地の引き渡しは最短で高台が2015年末、かさ上げ地が17年度。造成を待てずに市内外で再建したり、転居したりする被災者が相次いだ。災害公営住宅に入居した人もいた。
 高台にはコスト圧縮のため換地面積に上限があり、それ以上はかさ上げ地に換地される。地権者が土地を貸していたり、震災で亡くなったりしていたケースもある。
 戸羽市長は「もともとの土地の筆数分は整備しなくてはならず、ルールにのっとった」と説明。既存の区画整理の制度が被災地の実態を反映していないため、ずれが生じると指摘する。
 その上で「(公有地整備のために買い上げる)津波復興拠点整備事業の制限を緩和するなど被災地の実情を踏まえた新たな手法が必要だ」と強調する。

<人口15%減>
 人口は震災前より15%減り、2万を割った。仮設住宅入居者らへの市の最終意向調査で、かさ上げ地での自力再建は、高田地区43世帯、今泉地区17世帯にとどまる。高台に移る店舗や公共施設があり、市街地の空洞化は避けられない。
 市中心部で被災し、仮設店舗で営業する小売店の村上食品店は30年以上続けた店を畳む予定だ。店主の妻(66)は「郊外にスーパーが出店し、街にどれだけ人が来るのか。体力もついていかない」と漏らす。
 広大な空き地をどう利活用するのか。ある地権者(74)は「貸したいが、市有地の方が格安で借りられそうだし、市営駐車場もできる」と不安がる。「税金がかからないよう(農地に変更して)木を植えた方がいいのか…」とも語る。
 地元不動産業者は「地主が新規出店者向けに建物を整備する際に補助金を出すなど、市は踏み込んだ対応を取るべきだ」と求める。
 中心市街地では4月27日、核となる商業施設が開業。その後に個人店が続く。どれだけ集客力を発揮するかが、今後の出店増や土地利用の試金石となりそうだ。
 商業施設内に出店する伊東孝陸前高田商工会長は「買い物以外でも人々が集える場所にしなければならない」と力を込める。
(大船渡支局・坂井直人)


2017年03月05日日曜日


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