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<震災6年>帰還住民の高齢化率5割超

葛尾村社会福祉協議会が取り組んでいる「生きがいデイサービス」

 東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の旧避難区域で、帰還者に占める高齢者の割合が各自治体で5割を超えることが、河北新報社のまとめで分かった。健康な帰還者が多いが、高齢化で介護や医療ニーズが高まるのは確実。避難指示が今春解除される自治体を含め、介護人材の確保など体制の再構築が緊急課題となっている。

 これまでに帰還困難区域を除き避難指示が解除された5市町村の現状は表の通り。住民の帰還率は全体で13.3%にとどまる。
 帰還者に占める65歳以上の割合は、葛尾村の64.6%が最も高い。南相馬市小高区(54.5%)楢葉町(53.9%)とともに原発事故前の約2倍になった。
 田村市都路地区は人口構成の分類が10歳刻みのため、60歳以上でみると、原発事故前と比べて11.6ポイント増となった。川内村は旧避難区域に限った年齢構成を集計していない。
 高齢者を支える環境は決して十分ではない。葛尾村では診療所や商店が再開していない。住民の訪問活動に当たる村社会福祉協議会は「車の運転ができるなど、比較的元気な高齢者の帰還が多いのが現状」と説明する。
 同社協は昨年8月、介護予防のため、要介護・支援者以外の高齢者も参加できる「生きがいデイサービス」を始めた。ただ介護事業としての採算は取れず、国の交付金を運営費に充てている。
 福島県内の被災地では長期避難によって介護や医療体制が崩壊。立て直しが不可欠だが、人手不足が足かせとなっている。福島労働局によると、避難区域を含む相双地区の有効求人倍率(昨年12月)は、介護職が5.02倍、看護職が5.69倍。県平均(介護3.48倍、看護2.99倍)を大きく上回る。
 昨年3月末に再開した楢葉町の特別養護老人ホーム「リリー園」は定員40人に対して入所者は22人にとどまる。16人の入居待機者がいるが、職員不足で受け入れることができない。訪問介護は休止中だ。
 同園は町唯一の特養ホーム。永山初弥施設長は「職員不足が解消しなければ施設の経営も成り立たず、安心して町に戻る環境を整えられない」と話す。


2017年03月05日日曜日


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