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<原発避難>4月解除 町職員片道2時間通勤

福島県富岡町への通勤バスの発着点となる町役場郡山事務所=郡山市大槻町

 東京電力福島第1原発事故による避難指示が帰還困難区域を除いて4月に解除される福島県富岡町で、町職員が長距離通勤に不安を抱いている。町内の本庁舎での業務が6日に再開。仮役場のある福島県郡山市周辺に生活拠点を移した多くの職員が通う。郡山−富岡間は車で片道約2時間。町は6日から通勤バスを運行するが、職員からは「いつまで体が続くか」といった声が出ている。
 町によると、町職員は全体で約140人。現在の郡山勤務者ら新たに約90人が4月から町内勤務となる。郡山−富岡間は国道288号など一般道で90キロ前後、常磐自動車道などを利用するルートで約130キロ。通勤バスは渋滞の少ない一般道を走る計画だ。
 約90人全員が乗車できるよう、町は大型2台の運行をバス会社に委託。悪天候を想定し、マイカー通勤者も乗車可能にする。所要時間は三春町での停車を含め片道2時間20分。富岡行きは午前6時に町役場郡山事務所を出発する1便のみ。帰りの郡山行きは午後5時45分と同7時半発の2便だ。
 郡山市に再建した自宅に家族5人で暮らす50代の男性幹部は「毎朝5時起床、夜10時すぎの帰宅となる」。それでも母が市内の病院に入院し、父も通院中のため「妻一人を自宅に残しておけない。単身赴任は難しい」と語る。
 若手女性は「マイカー通勤は精神的にも体力的にも無理。ただ残業で帰りのバスに乗り遅れたらと思うと心配」と言う。
 マイカー通勤を選択する職員も。小中学生の子どもを持つ40代男性は「子どもが病気をしたときなどに対応できる」と判断した。
 マイカー利用には通勤手当があるが、上限は距離80キロの月額4万6500円で、原発事故前から変わっていない。30代の男性職員は「ガソリン代をはじめ維持費で足が出る。実態に見合っていない」とぼやく。
 「帰還困難区域に家がある」「町内の自宅のリフォームが終わらない」「子育て環境が整わない」「低線量被ばくへの不安が拭えない」。職員も町民と同様、町に戻りにくい事情をそれぞれ抱える。
 町職員労組は「単身赴任をしても出費は増える。こうした勤務形態が続けば、若手らの離職につながる」と危機感を募らせる。
 町は来年3月末までの予算約3000万円を確保し、バス運行を1年間は続ける方針。女性職員の一人は「長距離通勤を1年間、頑張れるかどうか。その後は富岡に戻るか退職するか考えねばならないかもしれない」と打ち明ける。
 町は4月から町内のアパートを借り上げ、単身赴任者用宿舎も用意する。伏見克彦総務課長は「何が正解かは分からない。バス予算をどこまで投入できるかという問題もある。どこかの時点で町の近くに住むなどの選択をしてもらわなければならないと思う」と険しい表情を浮かべた。


2017年03月06日月曜日


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