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<国道347号通年通行>横軸の可能性生かそう

今冬から通年通行になった宮城、山形県境の国道347号鍋越トンネル=1月23日

 宮城、山形両県を結ぶ国道347号(延長約83キロ)のうち、県境鍋越峠を挟む17.7キロ(宮城側11.3キロ、山形側6.4キロ)が通年通行となり、初めての冬が過ぎようとしている。豪雪地帯の県境付近の安全対策は万全だったか、地域経済の活性化にはつながったのか。課題を検証しつつ、県境を越えた横軸連携の可能性をいま一度、考えたい。(加美支局=馬場崇)

 1月下旬、宮城県加美町から鍋越峠を経由し尾花沢市まで車を走らせた。何度も除雪車と擦れ違う。道路脇にできた雪の壁に除雪車が付けた青い染料が目印となり、一帯が真っ白の雪景色でも安全に走行できる。
 午前7時〜午後7時の限定通行とし、暴風雪、大雪の警報が出た際は直ちに通行止めとする措置を取った。冬場でも十分、通行できることが証明されたと言える。ただ、緊急時への備えは課題が残った。
 携帯電話3社のうち、2社がアンテナを設置したものの、不通エリアは完全に解消できなかった。早期解消は言うまでもなく、残る1社へアンテナ設置を促すことが急務だ。1キロ置きに設けた非常電話が雪に埋もれていた箇所があり、周辺の除雪の工夫も必要だろう。
 県境付近は1〜2メートルの積雪だったが、県境に最も近い加美町漆沢地区の住民は「雪は少なかった」と言う。シーズンを通して記録的大雪の場合、今の安全対策で十分なのかどうか。目標とする24時間通行には気象データの蓄積と分析が不可欠で、実現にはなお時間を要しそうだ。
 通年通行を機に、観光促進をはじめとする地域経済の活性化に向けた動きも出てきた。目立ったのは山形県側の積極性だ。
 尾花沢市や山形県大石田町は特産のそばを売り込むイベントを仙台市内で開いたり、尾花沢市の徳良湖での雪遊びイベントをPRするなど懸命だった。通年通行をビジネスチャンスと捉え、同市内の工業団地内に大崎市の農業資材卸会社が進出することも決まった。
 一方で、宮城県側のアプローチは弱かった。加美町が2月の鍋まつりをPRした程度。宮城の自治体関係者は「観光では仙台方面へのPRが中心となりがちで、山形側への発信は乏しかった」と口をそろえる。
 確かに従来、通年通行の重要性と早期実現を強く訴えてきたのは山形側だった。通年通行後も、この温度差を引きずったままではもったいない。これまでの仙台圏という「縦」の経済効果に終始せず、今後は「横」にも目を向けるべきだ。
 通年通行により冬場でも、347号を軸に世界遺産の平泉(岩手県)、日本三景の松島(宮城県)をたどる一大観光周遊が可能になった。訪日外国人旅行者(インバウンド)を含む観光交流人口の拡大が図れるだろう。ルートの確立に宮城、山形の横軸連携強化は欠かせない。
 好影響は経済交流にとどまらない。通年通行実現の契機となり、既に取り組みが始まった防災連携はもちろん、救急医療体制をはじめとする県境を越えた医療圏の構築も可能になるのではないか。通年通行が県境のしがらみにとらわれない、大胆な地域振興策につながるよう望みたい。


[国道347号] 寒河江市を起点に山形県の河北町、村山市、大石田町、尾花沢市、宮城県の加美町を経て大崎市に至る。3桁国道のため、両県が管理する。県境の鍋越峠は豪雪地帯で冬季閉鎖されてきたが、宮城県側の道路改良が終了し、今冬、日中限定で通年通行が始まった。


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2017年03月06日月曜日


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