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<家庭教師のアップル>遺児に無償個別指導

 東日本大震災の発生から間もなく6年。東北の被災地では、多くの企業が復興支援をCSR(企業の社会的責任)に位置付け、活動を続ける。支援内容は地域コミュニティー、産業、教育と幅広い。震災の教訓を基に、本業を生かして被災地と歩む企業の取り組みを追った。(「被災地と企業」取材班)

◎トモノミクス 被災地と企業/復興へCSR幅広く

 「個別教室・家庭教師のアップル」を展開するセレクティー(仙台市)は、震災で親を亡くした児童生徒を対象とした無償学習サポートを続けている。
 同社は11年6月、一般財団法人「学習能力開発財団」を設立。6年間で遺児45人の学習支援をした。このうち現在は仙台市や石巻市の小学生から高校生まで24人が週1、2回、家庭教師の指導を受ける。
 震災後、多くの団体が学習支援に入った。避難所を回った畠山明社長(48)は喪失感を抱えた遺児が意欲を失い、集団学習に交ざれずにいる姿を見た。「1対1の個別指導が私たちの強み。勉強だけでなく、子どもたちの話を聞き、悩みを受け止めることを大事にしてきた」と語る。
 津波で母と妹を亡くした塩釜市出身の元生徒(22)は「震災直後は学校も勉強も嫌になったが、担当の講師と話すことで少しずつ心に余裕を持てた。週に1度の楽しみだった」と語る。
 畠山社長は「規模は小さくても、続けることが重要」とCSRの姿勢を強調。「無償サポートの定員は30人。まだ空きはある」と参加を呼び掛ける。遺児全員が志望校に合格するまで使命は終わらない。
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 企業の社会的責任(CSR)。21世紀、世界の企業に浸透し始めた概念だ。東日本大震災後、東北の被災地には無数の企業が足を踏み入れ、試行錯誤を重ねた。艱難(かんなん)の地へ、生活の糧を、癒やしを、希望を。企業を突き動かした衝動は何だったのだろう。あれから間もなく6年。CSRを足掛かりに、あの日に返って経済社会を展望する。見えてくる明日を、私たちは「トモノミクス」と呼ぶ。


2017年03月07日火曜日


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