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<震災6年 まち再生>域内人口格差広がる

住宅の建築ラッシュに沸く新蛇田地区。郵便局やスーパーなども間もなくオープンし、活気を帯びる

 東日本大震災の津波被害を受けた岩手、宮城、福島の被災3県の沿岸部は、まち再生の取り組みが正念場を迎えている。中心市街地を造り直す大規模な土地区画整理事業は道半ば。現地再建への戸惑い、廃業の危機、地域格差など課題は山積する。震災から6年を迎える被災地の今を追う。

◎正念場迎える被災地(5)宮城県石巻市

 「季節ごとの行事があったらいい」「子どもが集まるイベントをしたい」
 石巻市の新蛇田地区で2月中旬、自治会設立に向けた会合があった。どのように住民同士の交流を深めるか。住民らが活発に意見を交わした。
 三陸自動車道の石巻河南インターチェンジに近く、商業施設などの集積が進む石巻市郊外に、真新しい住宅や災害公営住宅が並ぶ。

<3300人が移住>
 新蛇田地区は東日本大震災に伴う土地区画整理事業により、田園に誕生した新市街地だ。津波で被災した沿岸部の住民を吸い寄せている。計画によると施工面積は46.5ヘクタール。一戸建て住宅730戸、災害公営住宅535戸が整備される。計1265戸、約3300人が移り住む。
 規模が大きく、自治会は地区を四つに分けて編成する予定。設立に向けた会合には、先行する北東エリアの住民が集まった。
 参加した会社役員上村博也さん(70)は、まちの将来像を見据えた話に希望を膨らませた。「新市街地はキャンバスに例えれば、まだ真っさらな状態。どういう地域を描いていくか、楽しみだ」
 同じ市内で対照的なのは甚大な被害を受けた半島部。2015年国勢調査で人口は雄勝が震災前(10年)と比べ74.44%減の1021、牡鹿が43.35%減の2448、北上が34.64%減の2430。主に震災後の流出が深刻さを増す。
 北上地区の拠点となる集団移転団地「にっこり団地」は、そのあおりを受ける。33区画の自主再建向け宅地が昨年4月までに整備されたが、今も9区画が空いている。
 「当初はもっと希望者が多かった。整備区画は次第に減り、それでも空きが出る」。団地の住民有志の会メンバー、会社員鈴木健仁さん(62)は寂しげだ。

<若者内陸へ>
 拍車を掛けた一因は、12年末に受け付けが始まった「がけ地近接等危険住宅移転事業」と鈴木さんはみる。5戸以上の集団移転の要件を満たさない個別移転にも転居費などが助成される制度。地区外で働く若い世代を中心に住宅を内陸に構えた。13年に団地の計画変更があり、完成が約1年遅れたのも響いたという。
 鈴木さんは「被災者個人にとっては選択肢が増えて良い事業も、まちづくりを考える上ではつらい」と指摘する。
 半島部に限らず、市中心部に近い新門脇地区も著しい人口減に直面する。復興事業に伴い生じる市域内の人口格差は広がる一方だ。
 地区では、土地区画整理事業で造成した250戸分の宅地引き渡しの9割が終わった。ただ大半の宅地は空き地のまま。昨年11〜12月に入居が始まった2カ所の災害公営住宅に125戸が入居したが、震災前の地区の規模にはほど遠い。
 町内会長の本間英一さん(68)は「土地を売らず残している人もいる。いつか家を建てて住んでほしい」といちるの望みを懸ける。
(石巻総局・鈴木拓也)


2017年03月07日火曜日


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