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<原発避難>富岡帰還へ疲れ取れぬ通勤2時間

午前8時30分の始業時間直前にバスで役場本庁舎に到着した職員=福島県富岡町

 役場本庁舎での業務を6日に再開した福島県富岡町。本庁舎勤務の約80人は大半が町外からの通勤だ。多くが同県郡山市周辺に生活拠点を移しており、片道2時間の通勤をスタートさせた。(郡山支局・吉田尚史)
 薄暗い午前5時半。郡山事務所(郡山市)に職員が姿を見せた。「今朝は4時半起き。寝て行かなきゃ体が持たない」。市内に避難する産業振興課長の菅野利行さん(59)が、目をこすりながらバスに乗り込んだ。
 町は郡山事務所と富岡町役場を結ぶ大型2台の運行をバス会社に委託した。行きは午前6時出発の1便、帰りは2便。主に一般道ルート(距離90キロ超)で片道2時間20分を要する。
 初日朝の利用はわずか8人。しかも到着は午前8時半前。始業開始ぎりぎりだった。狭い道のすれ違いに時間を費やしたという。
 「車内では眼を閉じただけだった。疲れは取れていないかな」。女性職員の一人は足早に庁舎に入った。
 一方、町役場の職員駐車場はマイカー利用者の多さを反映し、午前8時すぎには次々と埋まった。
 郡山市からマイカーで到着した30代の男性職員は「時間に縛られて仕事をするのは大変。やはりバスは無理だな」と話した。
 バス利用の職員は落ち着かない様子で終業時間を迎えた。午後5時15分すぎ。時計を見やる女性職員がいた。
 「子どもに『夜8時半にはおうちに帰るから』と約束した。きりのいいところまで仕事をしたいが、早く帰らなきゃ」
 小学2年の息子を案じながらバスに乗り込んだ。
 最終バスが町役場を出発する午後7時半。庁舎ではまだ20人ほどが残業していた。「仕事を切り上げ郡山に帰ったら10時ごろですかね」。総務課の職員男性がつぶやいた。
 バス利用者が少なかったことについて、伏見克彦総務課長は「当面様子を見続けたい。中型にするなどの対応もあり得る」と説明した。
 マイカーによる長距離運転のリスクもあり、宮本皓一町長は6日の訓示で「交通事故に遭わないよう、お願いしたい」と職員に呼び掛けた。


2017年03月07日火曜日


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