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<キリン>福島産ナシ酎ハイに

キリンビールマーケティング(東京)は6日、東日本大震災の復興プロジェクトの一環で、宮城県気仙沼市内の水産加工業者でつくる気仙沼水産食品事業協同組合に5000万円を助成した=2014年6月6日

 東日本大震災の発生から間もなく6年。東北の被災地では、多くの企業が復興支援をCSR(企業の社会的責任)に位置付け、活動を続ける。支援内容は地域コミュニティー、産業、教育と幅広い。震災の教訓を基に、本業を生かして被災地と歩む企業の取り組みを追った。(「被災地と企業」取材班)

◎トモノミクス 被災地と企業/復興へCSR幅広く

 キリングループは、復興支援「キリン絆プロジェクト」を被災3県で展開する。2011年7月にスタートし、拠出額は60億円以上。農機具購入や養殖設備の復旧などハード支援から、現在は商品開発や人材育成といったソフト支援に重点を移した。
 13年には福島県産ナシを使用した酎ハイ「キリン氷結・和梨(わなし)」を発売した。販売前、一部消費者から、東京電力福島第1原発事故に絡み「福島のナシを使った商品を出していいのか」との問い合わせが寄せられた。同社は「安全が大前提です」と対応し、販売方針を敢行。発売後は予想を超す売れ行きを見せた。
 一連のプロジェクトはキリンビール仙台工場(仙台市宮城野区)の被災がきっかけだった。社内には「仙台撤退」の意見もあったが、「地域の役に立ちたい」との考えから、現地での再出発を決めた。従業員らによる懸命な復旧作業を経て、11年9月にビール製造を再開させた。
 キリン絆づくり推進室の渕田紳一専任部長(62)は「お金を出して支援は終わりでなく、復興というゴールまで東北の人たちと伴走していきたい」と力を込める。
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 企業の社会的責任(CSR)。21世紀、世界の企業に浸透し始めた概念だ。東日本大震災後、東北の被災地には無数の企業が足を踏み入れ、試行錯誤を重ねた。艱難(かんなん)の地へ、生活の糧を、癒やしを、希望を。企業を突き動かした衝動は何だったのだろう。あれから間もなく6年。CSRを足掛かりに、あの日に返って経済社会を展望する。見えてくる明日を、私たちは「トモノミクス」と呼ぶ。


2017年03月07日火曜日


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