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<震災6年>灯籠の種火 120km追悼ラン

連日トレーニングに励む江本さん

 岩手県遠野市の僧侶江本英卓(すぐる)さん(34)が11日、盛岡市で開催される東日本大震災の追悼イベントの灯籠に点火する種火を運ぶため、釜石市から約120キロを走る。震災の記憶の風化が少しずつ進む中、「追悼ラン」で沿岸被災地と内陸をつなぎ、「多くの人にあの日を振り返るきっかけになってほしい」と願う。
 午前5時にJR釜石駅をスタートし、仙人峠を越えて8時半に遠野に入る。「祈りの灯火(ともしび)」会場の盛岡市のもりおか歴史文化館前広場に午後4時半ごろゴールする予定。4時50分の点灯式に臨む。
 種火は、釜石製鉄所の高炉の火が燃え続ける「鉄のモニュメント」から採る。釜石で日本初の近代製鉄を成功させた盛岡藩士大島高任が盛岡出身という縁から選んだ。
 江本さんは久慈市山形町生まれ。中学時代に本格的に陸上長距離を始めた。東京消防庁に勤務し、陸上部に所属。各地のマラソン大会に出場した。登山路などを走るトレイルランニングでは、一流選手がそろう富士登山競走の上位常連となり、日本代表も経験した。
 妻の実家が遠野市内の寺だったことから、結婚を機に僧侶になった。昨年2月に移住し、寺務の傍ら1日20〜60キロのトレーニングをこなす。
 追悼ランに挑むのは、昨年8月の台風10号豪雨でボランティアをした際、祈りの灯火関係者と知り合ったことがきっかけ。6年目の灯火は七回忌に当たる。江本さんの走力を生かした種火運びで、改めて犠牲者や被災地に思いを寄せる機会をつくってほしいと頼まれ、快諾した。
 江本さんは「せっかく帰ってきたので、ふるさと岩手の力になりたい。あの日を忘れず、人とのつながりの大切さや防災意識を再確認する日にしてもらいたい」と語る。
 祈りの灯火は、盛岡市近郊8市町でつくる盛岡広域首長懇談会の主催。灯籠1万個に鎮魂の明かりをともす。中学高校の吹奏楽部のステージや被災者の証言を収めたドキュメンタリー映画の上映もある。


2017年03月08日水曜日


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