福島のニュース

震災遺産保全条例が成立 富岡町で全国初

JR常磐線富岡駅付近で流されたレール。災害対策本部のホワイトボードに書き込まれた記述を裏付ける=福島県立博物館
震災遺産として保全した福島県富岡町の災害対策本部跡のホワイトボード。中央下部には「線路約200メートル流される」と書き込まれている(町役場提供)

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を物語る遺産の保全などを明記した「震災遺産保全条例」案が7日、福島県富岡町議会で可決され、成立した。同種の条例は全国で初めて。町は複合災害の影響や教訓を発信し、地域全体で風化防止に取り組む意識を高める。
 条例は帰還困難区域を除く町内の避難指示が解除される4月1日に施行される。全7条から成り、震災遺産の範囲(建造物、標識、印刷物など)や基本方針を盛り込んだ。企画展などで積極的に公開して「地域が災害から復興へ向かう姿を積極的に発信する」(第6条)ことも打ち出した。
 富岡町は専門プロジェクトチームを設け、地域資料を含めた震災遺産の保全を進めている。メンバーで条例制定を提案した門馬健学芸員は「震災の風化防止は町の責務。災害に向き合って復興に進む町の姿勢が明確になる」と条例化の意義を強調する。
 町民に遺産収集を義務付ける規定はないものの、保全に取り組む町の意志を明示することで、町民の意識変革を促す狙いも条例にはあるという。
 「条例制定は、地域が災害でどう変わったのかを、住民自らが受け止める機会につながる」と門馬学芸員。震災当時に撮影した写真を貴重な記録と捉え、町に提供してもらうことなどが期待される。
 専門チームはこれまで、津波で流されたJR常磐線富岡駅付近のレールの一部や、町災害対策本部に残された書類、メモなど計5400点を収集。さらに保全作業を急ぐ方針だ。
 町は効果的な情報発信のため、象徴的な震災遺産を認定する制度も検討中。門馬学芸員は「幅広く資料を収集することで、被災状況をより正確に描き起こすことが可能になる」と話している。


2017年03月08日水曜日


先頭に戻る