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<震災6年 まち再生>子育て応援地域一丸

現地説明会に参加した夫婦(左)を高台に案内する佐藤理事長(中央)ら=2月26日、福島県いわき市
現地説明会に参加した夫婦(左)を高台に案内する佐藤理事長(中央)ら=2月26日、福島県いわき市

 東日本大震災の津波被害を受けた岩手、宮城、福島の被災3県の沿岸部は、まち再生の取り組みが正念場を迎えている。中心市街地を造り直す大規模な土地区画整理事業は道半ば。現地再建への戸惑い、廃業の危機、地域格差など課題は山積する。震災から6年を迎える被災地の今を追う。

◎正念場迎える被災地(6)完 福島県いわき

 自分たちの手で新たなまちを創造する。目指すのは「こどもらが日本一めんこく育つまち」だ。

<150世帯目標>
 福島県いわき市の豊間地区。東日本大震災の津波で住宅の65%、約400戸が失われた。2018年3月の引き渡し完了を目標に土地区画整理事業が進む。
 今年、宅地と移住希望者のマッチング事業が動きだした。主体は住民組織「ふるさと豊間復興協議会」。子育て世代に照準を絞り、新住民を呼び込む。
 2月25、26の両日、初の現地説明会を開いた。
 「海が見える。最高」。造成中の高台からの眺めに、20代の夫婦が顔を見合わせた。「いいね」
 2日間で参加は5組だけだった。だが、チラシ6万枚を新聞に折り込んでも問い合わせが全くなかっただけに、豊間区長で協議会長の遠藤守俊さん(72)は、ほっと胸をなで下ろした。
 5組とも津波への不安から高台の区画を希望した。更地の現場に「先頭を切って家を建てるのは勇気がいる」との声も出た。参加者の少なさを含め課題も浮かんだが、前向きな意向が多く、遠藤さんは「一歩を踏み出せた」と感じた。
 協議会は150世帯の移住を目標に掲げる。突き動かすのは「限界集落になりかねない」との危機感だ。
 区画整理では19ヘクタールに349区画を造る。当初は200区画で住宅再建が見込まれたが、協議会の昨年の調査では50世帯ほどに減少。子育て世帯は1桁だった。
 豊間の復興を支援するNPO法人「美しい街住まい倶楽部(くらぶ)」の佐藤俊一理事長らが知恵を絞った。市内では震災後、宅地不足で地価が高騰。住宅取得が難しい現状に可能性を見た。
 使わない区画と移住希望者を登録し、結び付ける。地価の安さに加え、モデルプラン提案などで低コストを実現。「子育てママ応援交流拠点」も整備する。佐藤理事長は説明会で「地域のじっちゃん、ばっちゃんが見守り、子どもがめんこく育ちます」と売り込んだ。

<自らの手で>
 遠藤さんや佐藤理事長らには、協議会が転換期を迎えたとの認識も強い。設立は震災の5カ月後。当初は区画整理や災害公営住宅の計画作りなどで住民の声を行政に届け、反映させるのが主な役割だった。
 「ハード面のめどはついた。次はまちづくり。区画整理が終われば行政は手を引く。自分たちのまちは自分たちでつくるしかない。協議会の役割も変わる」
 今月4日夜、集会所に20〜50代の地元住民約30人が集まった。協議会の主要メンバーは高齢者が多い。まちづくりに若い世代は欠かせないと、参加を呼び掛けた。
 「若い人と高齢者が一緒に野菜を作る農園が欲しい」「サーファーが街に溶け込む仕掛けを」。参加者は活発に意見を交わした。
 協議会は今後、地域にさまざまなグループをつくるなど運営や体制の再構築を図る。遠藤さんは言う。
 「地域一丸にならないと新たなまちづくりは進まない。ここから正念場だ」
(いわき支局・古田耕一)


2017年03月08日水曜日


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