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<震災6年 まち再生>「復興力」議論欠く

増田聡(ますだ・さとる) 東大大学院工学系研究科博士課程修了。東北大大学院経済学研究科助教授などを経て、2000年から現職。同研究科震災復興研究センター長、東北圏地域づくりコンソーシアム代表理事。専門は地域・都市計画。57歳。前橋市出身。

 東日本大震災の被災地で「まち再生」に用いられる土地区画整理事業をどう見るか。復興まちづくりに詳しい東北大大学院経済学研究科の増田聡教授に、6年間の課題と今後の災害への教訓を聞いた。

 −6年間の復興まちづくりをどう振り返るか。
 「震災前から人口減少が進んでいた被災地では、少しでも残っている個人の復興力や開発力をどこに誘導するか、という議論が必要だったが、その仕組みを欠いた。防災集団移転や土地区画整理など既存の事業が先行し、現地で再興したいと思っている人の意欲までそいでしまった」

 −被災地での区画整理事業の現状をどう見るか。
 「区画整理は都市が大きくなっている時代のモデルだ。大量に人口が流出する事態は想定していない。戻らないペナルティーもなく、長期化などに伴い、別の場所で再建する人が相次いだ。区画整理事業による復旧の限界が示された格好だが(迅速な対応が求めれた計画当時は)他に明確な方法がなかったのも事実だ」
 「資金を確保できる被災者は既存の宅地にどんどん自主再建し、分散した。復興はここを核にする、といった方針を早期に示し、将来の都市計画を見据えた移転誘導地域のようなものを設けてもよかった」

 −事業を簡略化する方策はなかったのか。
 「震災後、多くの特例が出され、平時より相当速いスピードで事業を行ってはいるが、被災者にとっては時間がかかり過ぎる。土地の境界確定などの手続きも時間を要した。日本では土地の所有権は絶対であり、相続人は最後の一人まで探すのが原則。所有権の根幹に関わり、簡略化は憲法改正の議論になる。災害時は所有権をいったん停止する制度があれば、適応はあり得たかもしれない」

 −自治体の対応は。
 「もっと裁量権があってもよかった。ある程度緩和されたとはいえ、区画整理事業は一定以上の面積などの要件を満たさなければならない。既存の国の事業に、無理やり『復興』を載せてしまった」
 「地方分権が進んでいれば、自治体の被害を査定して、その分の予算を付け、高台移転でも区画整理でも自治体が自由に設計するやり方もあり得た」

 −次の災害への教訓は。
 「既存事業による復興の限界はある。市街地に被害が出た場合、どこに街を再建するかという議論は必要だろう。事前復興などと呼ばれる考え方だ。東日本大震災でも事前の復興プランが何パターンかあれば、仮設住宅を飛ばし、災害公営住宅などを半年で造ることもできたかもしれない」


2017年03月08日水曜日


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