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<国道347号>通年通行 経済効果じわり

国道347号が通年通行になり、尾花沢市には宮城県からの観光客が増えているという

 宮城、山形両県を結ぶ国道347号のうち、県境の鍋越峠を挟む17.7キロが今冬から通年通行となって3カ月余りたった。冬季の車両通行台数は1日当たり300台前後と秋の3〜6割ながら、冬季閉鎖(おおむね11月下旬〜翌年4月上旬)でゼロだった1年前と比べれば格段の違いだ。山形県側入り口の尾花沢市は、交通の利便性向上から、宮城県からの観光客増加や企業進出など経済効果が表れ始め、一定の手応えを感じている。(新庄支局・菅野俊太郎)

<大崎の企業進出>
 「国道347号が1年を通じて活用できることが決め手だった」。農業資材卸の小泉商事(宮城県大崎市)が2月1日、山形県尾花沢市に倉庫と営業拠点の新設を決めて用地売買の契約を結んだ際、同社の幹部は同市進出の理由を説明した。
 尾花沢市の銀山温泉も好調だ。「銀山荘」によると、昨年12月〜今年2月は宮城、岩手からの宿泊客がともに前年比1割増。台湾など外国からの旅行者とともに、集客の柱になった。
 小関健太郎社長(33)は「これまで12月は雪を見るには少し早く、オフシーズンだった。通年通行で特にそこが伸びたのが大きい。日帰り客を含めれば、もっと来ていたようだ」と言う。
 そば店は宮城側でのPRに力を入れた。347号沿道の山形県大石田町と尾花沢、村山両市のそば店主らが昨年10月、仙台市泉区で打ちたての新そばを振る舞い、各店で使える割引クーポンを配布。効果は確実に出た。
 尾花沢市でそば店を営む高橋晃治さん(64)は「10月に新そばの時季を迎えても、これまではすぐに道路が閉鎖されていた。PRやクーポン配布もあり、今冬は宮城からの来客数が1〜2割ほど伸びた」と話す。
 鍋越峠を挟む17.7キロ区間は昨年12月1日、午前7時〜午後7時の日中に限り通年通行がスタート。宮城、山形両県によると、除雪に力を入れたこともあり、悪天候で閉鎖となったのは1月12〜16日と2月2、24日の計7日だった。
 山形県の調査によると、鍋越峠付近の今冬の1日当たりの通行台数は平日が250〜300台、休日が300〜350台。直前の秋は平日450〜500台、休日1000〜1100台。冬は平日で秋の6割、休日で3割ほどだった。
 「交通量の予測はしていなかったが、これまで完全通行止めだったことを考えると一定の成果があった」と山形県村山総合支庁はみる。

<雪活用イベント>
 通年通行を機に、県外客を意識して雪を生かした新たな試みも始まった。尾花沢市内の若者を中心にした実行委員会が2月25、26日、徳良湖で雪に親しむ「徳良湖WINTER JAM」を初めて開催したのが一例。スノーモービルや、サーフィンのように雪上を滑る「雪板」で楽しむ親子連れでにぎわった。
 加藤国洋尾花沢市長は「今後はクーポンの取り組みを商店街全体にも広げるなど、集客につながるよう一層努める」と意気込む。
 同市の取り組みに詳しい東北公益文科大の平尾清教授(マーケティング戦略論)は「通年通行を見据え、以前から宮城側と連携し、道路の先に温泉やそばがあるという利用者視点で売り込んだことが奏功している。集客を一過性に終わらせない不断の努力が必要だ」と指摘している。


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2017年03月09日木曜日


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