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<震災6年>BCP策定進まず 資金力が壁

BCPを策定したカホク運送の本社とトラック=仙台市宮城野区

 被災後に早期に事業再開するための事業継続計画(BCP)の策定が、東北の企業で遅れている。東日本大震災発生から6年近くがたち、策定に乗り出す被災企業も出ているが、従業員数の少ない小規模な事業者には人員不足や資金力の弱さが壁になっている。

<「発想の転換を」>
 震災で約3カ月間、事業を停止した福島県沿岸部の機械加工会社は、BCPの策定に踏み出せていない。従業員は十数人。必要性は痛感するが、社長(55)は「知識や情報、その労力もない」と言う。
 震災後、大手企業が下請け企業にBCPの策定を取引条件として示す動きが広がるなど、中小企業の事業継続性により厳しい目が注がれるようになった。
 社長は「ただ『やれ』と言うだけでは普及しない。下請けのBCP策定を支援することが自社のリスク管理にもつながるという発想の転換がほしい」と取引先企業の支援に期待する。
 帝国データバンクが2016年6月に実施した調査では、BCPを策定済みの東北の企業は12.4%で、全国の15.5%を下回った。従業員数が1000人以上の企業が東北で60.0%に達したのに対し、5人以下は8.2%、51〜100人は11.3%にとどまる。

<できることから>
 従業員約40人を抱える運送会社、カホク運送(仙台市宮城野区)は、震災の津波で宮城県石巻市にあった本社が被災した。運転手らとなかなか連絡が取れず、事業を本格再開したのは、市内に仮事務所を見つけた2週間後だった。
 13年5月、仙台港近くに本社を移転。BCPの策定に着手できたのは16年9月だった。佐藤俊一社長(47)は「必要性は感じていたが、震災から5年半がたち、ようやくじっくりと考えられる時間ができた」と振り返る。
 中小企業基盤整備機構東北本部(仙台市)の支援を受け、災害発生直後の役割分担を決め、車両の状況確認のためにトラックに衛星利用測位システム(GPS)を配備した。
 ただ、食料の備蓄や本社の代替拠点などの課題は手つかずのまま。佐藤社長は「資金的な限界はある。関東や関西に事業拠点を設けて災害時のリスクを分散するなど、今後の事業計画の中で考えていく」と話す。
 同機構東北本部は16年度、沿岸部の被災企業を中心に約50社からBCP策定に関する支援依頼を受けた。多いのは従業員10人前後の企業。昨年度まではほぼゼロで、機運が高まりつつあることをうかがわせる。
 同本部の横尾徳仁震災復興支援アドバイザー(中小企業診断士)は「初めから全てを網羅した計画を目指すのは難しい。できることから決めていく姿勢が重要だ」と取り組みを促す。


2017年03月09日木曜日


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