宮城のニュース

<仙台中学生自殺>生徒2人に卒業証書

仙台市立中2年時に自殺した息子に代わり、卒業証書を受け取る父親は「あの日から時間は止まったまま」と語る
館中に隣接する公園には、今も花を手向ける人が絶えない。遺族の心の支えにもなっているという

 いじめ被害を訴え、自ら命を絶った仙台市泉区の中学生2人の遺族に10日、学校から卒業証書が手渡される。それぞれの家族は無念さや怒りなどが入り交じった感情を抱えつつ、晴れやかな気持ちで出席するはずだった卒業式の日を迎える。

 2014年9月に自殺した館中1年の男子生徒=当時(12)=の父親(49)は当日、遺影を手に式に参列する。父親は「たくましくなった息子の姿が見たかった。残念でならない。一つのけじめとして祝いたい」と心境を語る。
 自殺から約2年半。食事が喉を通らず、体重は約20キロ減った。沈みがちな心に一筋の光が差した。菅原光博校長から「(いじめに関わった)生徒たちが大人になってきた」と聞かされたからだ。
 「怒りがないと言えばうそになるが、大人になったという彼らを見守りたい」。父親は菅原校長の言葉に後押しされ、卒業証書を受け取ることを決めた。望んだ式への出席を受け入れてくれた学校側の姿勢も前向きに捉えた。
 父親は卒業する加害生徒たちに向け、「人を苦しめるのではなく、人の痛みが分かる大人になってほしい。変わろうとしてくれるなら、それが息子の供養になる」と言う。
 16年2月には、同区の中学2年の男子生徒=当時(14)=が自殺した。いじめを苦にしたとみられる。両親は10日夜、自宅で校長から卒業証書を受け取る。母親は「息子のいない卒業式が受け入れられない」と言葉を詰まらせた。
 式への出席依頼は断った。父親は「謝罪があれば別だが、加害生徒側に『卒業おめでとう』とは言いづらい」と憤る。
 市教委第三者委員会のいじめ問題専門委員会にも不満を募らせる。今月中にまとめる答申で「いじめ」の文言を明記する一方、「加害生徒は特定できなかった」と記載する方針。父親は「加害者さえ分からず、何のための専門委なのか」と語気を強める。
 心にとげが刺さったまま、式が迫る。「なぜ親が卒業証書を受け取らないといけないのか。学校全体でその意味を考えてほしい」。父親は、失われた命と向き合う機会にしてもらいたいと心から願う。


関連ページ: 宮城 社会 いじめ自殺

2017年03月10日金曜日


先頭に戻る