岩手のニュース

<震災6年>あの日の光景と今伝承へ高2渡米

米国での研修に向けて研究発表の練習に取り組む後藤さん

 東日本大震災で被災した岩手県大槌町出身の盛岡一高2年後藤丞(たすく)さん(17)が11〜26日、同校の海外研修で米国ボストンを訪れ、現地の大学や研究所で同町の被災状況や復興課題を英語で発表する。「あの日に自分が見た光景を伝え、被災地の状況を知ってほしい」と意欲を見せる。
 後藤さんは、同町の農業と災害の伝承の二つを研究テーマに選んだ。昨年夏から町役場や被災者に聞き取り調査を進めながら、被災した同町に農業や酪農を普及させるための課題や震災で得た教訓を探ってきた。
 海外研修は同校が文部科学省の指定を受けたスーパーグローバルハイスクール事業の一環。今回は1、2年生計10人が自分で研究テーマを設定し、各テーマを専門とするハーバード大やマサチューセッツ工科大の教授らと意見を交換する。
 後藤さんは6日、盛岡一高のコンピューター室で、海外研修を担当する千條惇教諭(34)らと本番を想定した発表練習をした。自作のスライドを壁に映し、発表の流れを確認した。
 千條教諭は「復興に生かしたいという思いで、研究内容を深めてくれた。世界中からの支援への感謝も伝えられるような発表をしてほしい」と期待する。
 後藤さんは4歳から同町で祖父母と両親、姉と暮らしていた。震災発生当時、大槌小5年生だった後藤さんは校舎から避難し、必死に駆け上がった山の上で津波に襲われる町を見つめていた。家族は全員無事だったが、親しかった友人の母親が犠牲となった。自宅は、震災直後の火災で全焼した。
 後藤さんは震災後、同町の仮設住宅で暮らす祖父以外の家族と盛岡市に転居した。「思い出の詰まった町が流された記憶は鮮明に残っている。あのときの気持ちは言葉にできない」と振り返る。
 後藤さんは将来、教育関係の研究職に進み、防災教育に携わりたいと考えている。「災害はまた来ることを忘れないように、自分の体験を語るのが義務。どの国でも災害が起きることを伝えたい」と語った。


2017年03月10日金曜日


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