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<震災と障害者支援>困難取り除く配慮を

<あべ・かずひこ>1951年、宮城県大崎市生まれ。東北大大学院歯学研究科博士課程修了。同大歯学部助教授を経て98年、東北福祉大社会福祉学部助教授。01年から現職。仙台市障害者福祉協会会長も務める。専攻は社会福祉学。65歳。

 東日本大震災で犠牲になった障害者の死亡率は全住民の死亡率の2倍近くに上るとされる。災害時はもちろん、災後も弱い立場に置かれている障害者を社会でどう支えるか。東北福祉大の阿部一彦教授(社会福祉学)に聞いた。(報道部・吉川ルノ)

◎災害公営住宅 再出発のハードル/インタビュー 東北福祉大・阿部一彦教授

 −震災直後、障害者は困難な立場に置かれた。
 「外見上障害が分かる下肢障害者らは、近所の人から水や食料を届けてもらうなど地域に支えられた事例が報告されている。一方、外見では分かりにくい内部障害者や精神障害者らは地域との関わりが薄く、困難な生活を強いられた」
 「障害者総合支援法に基づく福祉サービスを利用する障害者は障害者全体の2割強。福祉サービスを利用していない障害者は、行政の支援情報が届かず、特に不安な生活を送っていた」

 −見えてきた課題は。
 「障害者が地域とつながることが重要だ。障害者の支援や理解の促進は、障害者団体が中心的な役割を果たしてきたが、限界がある。地域を巻き込んだ運動を展開しなければならない」
 「災害公営住宅に移転した障害者は環境が変わり、抱える負担が大きい。災害への備えも脆弱(ぜいじゃく)なままだ。生活の拠点である地域の自治会や町内会とつながり、支援体制を構築する必要がある」

 −障害者に求められることとは。
 「仙台市の調査によると、『障害などで困っている世帯に対し、どんな対応をしたいか』との問いに『できる限り手伝いたい』『多少は手伝いたい』『支援を求められた時は手伝いたい』という回答が9割を占めた。障害者個々人が、支援を柔軟に受け入れる『受援力』を高めるべきだ。非常時に何が困難で、どんな配慮が必要なのか伝え、理解を進める努力が不可欠だ」

 −健常者はどのような配慮が必要か。
 「昨年4月、障害者差別解消法が施行され、障害者が社会的障壁の排除を必要とした場合、『合理的配慮』を行うことが義務化された。点字やスロープの整備、列車の遅延アナウンスを張り紙で伝える工夫など、障害者が抱えるさまざまな困り事を取り除く配慮が求められる。障害の有無で分け隔てられることなく、相互に尊重し合い共生する社会の実現を目指したい」


2017年03月10日金曜日


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