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<震災6年>感謝を胸に 横綱白鵬と心の交流

稽古をする岩手県大槌町出身で専大相撲部の岩間=川崎市

 東日本大震災で、いつも稽古をしていた道場や恩師を失いながら、相撲を続けた少年がいる。岩手県大槌町出身で専大相撲部の岩間弘将(20)。背景に角界との温かい触れ合いがあった。

◎岩手・大槌町出身専修大相撲部の岩間

<道場や恩師失う>
 震災時の中学2年生から大学2年生になった。年明けに帰省し、成人式に出席した。津波で流された土俵、3階建ての自宅マンションの跡は更地のままだった。「家は流れても、一番大事な命は残った。悲しいと思っていない」と必死に生きてきた。
 6年前の3月11日。稽古前に自宅にいた岩間は大地震を受け、避難所へ逃げた。両親に姉、妹の家族5人は無事だったが、一夜明けて高台から下りると泥だらけの一帯には住宅が漂着し、津波にのまれた自宅マンションの屋上には車が乗っていた。大槌中の相撲部監督ら指導者も亡くなった。
 関係者から存在を知らされた日本相撲協会は新品のまわしやバスタオル、横綱白鵬は手形サイン色紙に「頑張ろう! 東北」と添えて大槌中に贈った。2011年6月には協会の巡回慰問で、白鵬は高台に残った大槌町の土俵で鎮魂の土俵入り。岩間は「横綱と握手し、声を掛けてもらった」と述懐した。協会はその後も毎年、宮城、福島などで復興支援イベントを実施するなど、被災地を励ましてきた。

<「将来は地元に」>
 支援への感謝を胸に、岩間は青森・弘前実高から専大に進み、稽古に励む。170センチ、100キロ。昨年は東日本学生個人体重別選手権で3位に入った。1月下旬には白鵬が主催の少年相撲大会で副審を務めた。
 「将来は地元の復興に携わり、子どもたちに相撲を伝えたい」と思い描く。その姿を伝え聞いた白鵬は「つらい経験をした彼の今に、私たちの活動がつながっているのなら、報われたようでうれしい」と、土俵を通じた心の交流に目を細めた。


2017年03月11日土曜日


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