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<震災6年>ポジティブにも考える6年に

中林一樹(なかばやし・いつき)福井県生まれ。専門は災害復興、都市防災。都立大工学研究科建築学専攻博士課程単位取得退学。首都大学東京教授を経て、明治大大学院特任教授。宮城県南三陸町震災復興計画策定会議副委員長や日本災害復興学会長を務めた。69歳。

 東日本大震災では沿岸から内陸に多くの被災者が移動した。復興に対する認識の違いを地域間で比べることが難しい。復興の進展について地域差がないのは、そうした背景があるのかもしれない。

◎日本災害復興学会特別顧問・明治大大学院特任教授 中林一樹氏に聞く

 復興の実感を被災者が持つために大切な要素は4点ある。まずは日常生活を取り戻せたか。2番目は仕事が確保できたか。3番目は住宅再建の見通しを持てたか。そして4番目に自分の街の復興が進んでいるか。
 ずっと仮設住宅にいて災害公営住宅の完成を待っている人の復興感は上がらない。被災者の間でも格差は広がっている。
 復興度に地域差はなかったが、震災前と今の暮らし向きの比較では明らかな差があった。土木事業など外形的な復興に関しての評価は一般的な見方になるが、自分の問題となると切実感がある。被災地、そして個々の被災者の生活を取り巻く状況は依然厳しい。
 復興施策の評価では被災地、非被災地を問わず、全般的に「過剰」が少なく、「不足」が多かった。国民の多くは「被災地は大変だ」と認識し、復興への国費投入に理解を示している。ただそれぞれの施策にどのくらい税金を使ったのかを示して尋ねたら違う評価になったかもしれない。
 原発事故の除染、賠償については「不足」が多い。福島の苦しみを多くの人が理解している。東京電力に公費を投入するのは疑問でも、被災者支援にお金を使うのは認めている。
 震災6年は大きな節目。避難した子どもは故郷の小学校に一度も通わないで卒業する時間の長さだ。結果としてふるさと意識が薄い若い世代が増えていく。
 まちづくりの公共事業はそろそろ一段落する。その上にどんな花を咲かせるか、ここ3年ぐらいが勝負になる。若い世代、やる気のある人を復興に取り込むためには、被災者の仕事につながる雇用創出に力を入れなければならない。
 今年の3.11は七回忌だとよく言う。犠牲者の弔いとともに、生きている子の年を数えよう。震災で生まれ変わった街はもうすぐ6歳の小学生になる。どんな大人の街に育てていくか、ポジティブに考える震災6年にしていただきたい。


2017年03月11日土曜日


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