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<この人このまち>南部鉄器で古里に貢献

田山貴紘(たやま・たかひろ) 1983年盛岡市生まれ。埼玉大大学院修了。東京での食品メーカー勤務を経て、2012年に帰郷。13年にタヤマスタジオを設立。

 岩手県盛岡市の南部鉄器製造・販売「タヤマスタジオ」は、南部鉄器の普及を通じた「岩手貢献」を目指す。東日本大震災の被災地支援として、不用になった鉄器の再利用事業を展開し、収益を寄付したのがその例だ。社長の田山貴紘さん(33)に思いを聞いた。(盛岡総局・斎藤雄一)

◎南部鉄器製造・販売「タヤマスタジオ」社長 田山貴紘さん

 −Uターンの動機は。
 「食品メーカーの営業として東京で働いて5年たち、漠然と帰郷を考えていた時期に震災が起きました。ボランティアで訪れた陸前高田市などで被災者の生の声を聞き、傷ついた岩手の力になろうと決めました」

 −会社設立の経緯は。
 「2012年冬に退職して地元の盛岡市に戻り、南部鉄器職人の父に弟子入りしました。伝統の技と若い感性を融合させた作品を国内外に発信し、被災した岩手に関心を持ってもらおうという狙いがありました」

 「南部鉄器の良さを伝えるためには、商品のPRを小売店に任せる従来のやり方を変え、職人自らが消費者に売り込んだ方が説得力があって効果的だと思いました。父に提案しましたが、なかなか理解が得られなかったので独立しました」

 −被災地支援に力を入れています。
 「15年2月に有志の大学生3人と協力し、岩手県内の民家を回って使わなくなった南部鉄器226個を譲ってもらいました。溶かして得た鉄を材料に作った鉄器を東京で売り込み、収益など約11万円を釜石市の復興支援団体に寄付しました」

 「活動を通じ、南部鉄器の伝統を育んでくれた岩手に恩返しする重要性を再認識しました。岩手に根付く工芸品の職人として、地域貢献は使命だと感じます」

 −今後の被災地支援のアイデアは。
 「被災した釜石市は鉄の町として知られています。橋野鉄鉱山も世界文化遺産に登録されました。釜石で観光客を対象に、鉄器作りの体験教室を開けないか構想を練っています」

 −「岩手貢献」達成の道筋は。
 「職人が販売戦略の立案や商品PRも担うスタイルを確立し、南部鉄器ファンを増やすことが第一歩です。今夏までに若い女性をターゲットにした普段使いの鉄瓶ブランドを発表します。業界では珍しい永久保証サービスを売りにします」

 「鉄器を使って魅力を確かめることができるカフェも盛岡で開く予定です。南部鉄器を身近に感じてもらう工夫を重ねれば、被災地を含め岩手に興味を持つ人が増えると信じています」


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2017年03月13日月曜日


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