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<世界農業遺産>宮城「大崎耕土」申請へ

巧みな水管理が育んだ大崎耕土の景観(大崎市提供)

 農林水産省は14日、宮城県大崎地方の水田農業地帯「大崎耕土」など3地域を、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に新規申請することを決めた。3地域については、農水省が本年度創設した「日本農業遺産」にも同日付で認定しており、生物多様性保全や農村文化継承などの観点から世界的にも重要な地域と判断した。大崎耕土が世界農業遺産に認定されれば東北で初めてとなる。
 2017年度中に申請し、その後1年以内に審査される見通し。早ければ今秋にもFAO本部の会議で認定される可能性がある。
 3地域は「『大崎耕土』の巧みな水管理による水田農業システム」のほか、「静岡水わさびの伝統栽培」(静岡県)と「にし阿波の傾斜地農耕システム」(徳島県)。
 「大崎耕土」は面積約3万ヘクタールで、大崎市と美里、涌谷、加美、色麻の近隣4町にまたがる。気象の変化に応じた水管理や、家屋を取り囲むように植えられた屋敷林「居久根(いぐね)」を生かした先人の知恵で、冷害や洪水、渇水を克服してきた。
 同地域は、14年に「水鳥を育む湿地」に焦点を当て申請の対象を目指したがかなわなかった経緯がある。高度な水管理などの特長を強調し再挑戦していた。
 静岡のワサビは、沢を開墾した階段状の農地で湧水の養分のみで栽培する農法。徳島県つるぎ町などでは、急傾斜地にカヤをすき込み、独特の機具を用いて雑穀などを栽培してきた。
 日本農業遺産にはこのほか、武蔵野の落ち葉堆肥農法(埼玉県三芳町など)や雪の恵みを生かした稲作やコイ養殖(新潟県中越地域)など5地域が認定された。
 世界農業遺産と日本農業遺産候補の公募には15県19地域から応募があり、専門家会議が審査した。次回公募は18年の予定。

[農業遺産] 世界農業遺産は、伝統的農林水産業とそれによって育まれた文化と景観、生態系を保全し、次世代へ継承するため、重要な地域を認定する仕組み。国連食糧農業機関が2002年に創設した。16カ国の37地域が認定済み。日本には「能登の里山里海」(石川県)「トキと共生する佐渡の里山」(新潟県)など8地域がある。補助金などの支援はないが、農産物のブランド化や地域活性化の効果が期待される。日本の認定数は中国に次いで多く、今後は狭き門になるとみられるため、農水省が16年度、国内版の「日本農業遺産」を創設した。


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2017年03月15日水曜日


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