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<東通村長選>越善村政 物言えぬ空気も

原子力との共生について語る越善村長

 14日告示の青森県東通村長選は一時、無所属の新人が立候補の動きを見せたが結果は無投票に終わった。6選を果たした越善靖夫村長(75)の強力なリーダーシップに村民が期待した一方で、長期政権の前に異論を唱えにくい内情も露呈した。立地する原発の再稼働や建設工事の再開が延び延びになり、村の財政と経済が行き詰まる中、これまで以上の力量が試される。
 「助けてください。車が出せません」
 村長選の立候補予定者説明会があった2月13日、村内の男性(76)からむつ署に通報があった。自宅から車で約30分の村役場で開かれる立候補者説明会に出席し、その後の記者会見で出馬を表明する予定だった。
 男性は過去に村商工会長を務め、原発誘致に積極的に関わってきた村の有力者の一人。公約集を手に玄関を出ると、マイカーの前を親族の車がふさいでいた。
 警察を交えた押し問答の末、男性は説明会と記者会見に出席できず、後日、立候補を断念した。男性は「村長に物を言えない雰囲気がまん延している。家族の絆以上に村長の力が大きかった」と悔しがった。
 かつて村長選に挑んだ別の男性は、現村長に反旗を翻す難しさに理解を示しつつ「原発の再稼働や工事再開に向け、村が割れている場合ではない」と話す。
 東北電力東通原発は東日本大震災の影響で6年間停止したままで、再稼働の見込みは2019年度以降だ。震災直前に着工した東京電力東通原発は、進捗(しんちょく)率10%未満で中断し、今後の見通しすら示されていない。
 村の当初の財政計画では、東電東通原発が3月に運転を開始し、18年度に約60億円の固定資産税収入を見込んでいた。現状(15年度)は村税収入全体で約27億9000万円、20年度には20億円を割り込む見通しだ。東北電、東電で原発4基という村の皮算用は当面かないそうになく、自主財源の割合は年々低下する。水道会計は原発での大口利用が減り、年間約2000万円の減収が続く。
 村商工会によると、原発停止中に廃業や倒産、開店休業に陥った会員業者は約40で全体の2割弱。経営者らは「あと何年待てばいいのか」と愚痴をこぼす。
 村は原発との共存共栄をうたってきた。原発計画が傾けば、村が難局に直面するのは必至。原発の長期停止が続く中、6期目の船出は、そう容易ではない。


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2017年03月15日水曜日


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