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<復興基金>被災4県 事業や執行時期に差

 河北新報社と福留邦洋東北工大准教授(まちづくり復興学)の研究室は14日、東日本大震災で被災した青森、岩手、宮城、福島4県が創設した取り崩し型復興基金の執行状況(2011〜15年度決算額)をまとめた。復興基金を活用した事業の分野や執行時期は、各県の被災規模や復興の方向性などの違いによって異なることが浮き彫りとなった。
 復興基金は被災者の自立支援や復興事業を行う資金で、国から配分される復興交付金とは異なる。単年度予算の枠に縛られず、通常の補助制度に当てはまらない事業にも弾力的に対応。使途の自由度が高く、自治体には使い勝手がいい。
 青森を除く3県の基金の執行状況はグラフの通り。創設が11年8月と4県で最も早い宮城県は、初年度の執行額が150億円を超えた。「産業・雇用」分野が118億円超と突出するのが特徴。宮城県財政課は「製造業など地域産業が相当な打撃を受けた。中小事業者のなりわいをいかに迅速に再生させるかが重要だ」と説明する。
 基金を充てた事業の中心は中小製造業者の生産施設復旧に最大1000万円を補助する「中小企業等施設設備復旧支援費」(累計52億8700万円)と、中小企業の復旧を支援する「商業機能回復支援費」(46億3600万円)だった。
 住宅分野の割合が大きいのが岩手県。新築、改修費の一部や利子を補助する「生活再建住宅支援事業費」(68億2200万円)と、県内に再建する場合、国の被災者生活再建支援金に上乗せする「被災者住宅再建支援事業費補助」(39億100万円)を創設し、財源に復興基金を充てた。
 岩手県復興推進課は「沿岸部の人口流出を防ぐため、持ち家の再建を促進した」と強調する。
 福島県は11年度の執行額が1億円にとどまる。東京電力福島第1原発事故への対応で事業立案が追い付かなかったようだ。風評被害対策、「放射線教育推進支援事業」(2900万円)など原発事故に絡む観光・記録広報、教育・文化分野が他県より多い。
 被害が比較的小さい青森県は、津波避難計画の策定や消防団員の確保など次の災害への備えに力を入れる。
 福留准教授は「今回の震災の被害は広域に及び、初めて複数の県が復興基金を創設した。執行状況が比較でき、県による復興の考え方の違いが読み取れる」と話す。

[東日本大震災復興基]金 国は2011年10月、東北4県を含む全国の被災9県に原資として計1960億円を特別交付税で措置。東北では青森が4市町に、他3県が半額を全市町村に配分した。国は13年、1047億円を追加した。各県は民間からの支援金や寄付金なども加えた。積立総額は青森85億円、岩手725億円、宮城1619億円、福島828億円。

[調査の方法] 昨年9月〜今年3月、基金の総額や使途、事業概要などを東北4県に聞き取りした。復興基金による事業を「住宅」「生活」「産業・雇用」「観光・記録広報」「教育・文化」「その他」に分類。2011〜15年度の決算額から分析した。


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2017年03月15日水曜日


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