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<復興基金>被災4県市町村 課題や意見詳細

夜明けと共に手をつなぎ犠牲者の追悼と震災からの復興を祈願するボランティアら=2017年3月11日午前5時50分ごろ、宮城県南三陸町の長清水漁港

 東日本大震災に伴う「復興基金」について、関係する青森、岩手、宮城、福島4県の計131市町村へのアンケートで、課題や評価、意見などを挙げた市町村の自由記述は以下の通り。

■青森県■■■■■■■■■■

 ▽八戸市…自治体の裁量で復興事業に充当することができ、地域の実情に応じたきめ細かな対応が可能となる。特別交付税措置され、あらかじめ財源が確保されたことにより、迅速に、また適切な時期に事業実施が可能となるなど、復興基金の活用は復興の推進に効果があるものと考える。

■岩手県■■■■■■■■■■

 ▽盛岡市…直接大きな被害を受けた自治体でなく、多くの被災者を受け入れる自治体、後方支援を行う自治体が活用できる財源を確保することが課題。取り崩し型基金は計画を立てての判断、運用がしやすく、被災者をより身近とする現場の裁量を反映しやすいことから、他の補助金や交付金と合わせて確保すべき重要な復興推進の財源であると考える。

 ▽宮古市…使途に特段の制限がなく柔軟な活用が可能な一方で、国の補助事業などによる支援が行き届かない部分、各制度間の隙間を埋めるため基金を充当するケースが多い現状もある。

 ▽久慈市…使い勝手がよいため他の補助金の活用が困難な事業に充てることが多くなるが、その事業の緊急性や検討した以外の補助事業の可能性など慎重な検討を行ったほうがよい。額が限られるため、後年度においてどうしても使いたいものがでないとも限らないからだ。

 ▽釜石市…住宅再建を目的とした復興基金の使用期限が2020年度となっていることが課題。

 ▽八幡平市…財源がなくなった後の事業を続けるかどうか、いつまでやるのかの判断が課題。現在復興基金事業を続けているが、財源である県からの復興基金は2014年度内に枯渇しそうだったので、13年度で一般会計を積み立て、以降は市独自の事業として続けている。八幡平市自体が震災による被害が少なかったため、復興事業は被災者への支援や交流事業が主。

 ▽矢巾町…復興基金の役割は復旧事業と違う。被災者に対する物心両面からの支援、食品放射能対策、自主防災組織の充実強化のほか、防災対策の整備を実施し、住民に対する今後の防災意識の向上に大きな成果を上げられたと認識する。

 ▽大槌町…国の決定を待つことなく、スピーディーに独自支援を打ち出すことができた。

 ▽野田村…追加交付分の使途は住宅再建に限定されているが、必要に応じてそのほかの復興事業に活用可能とするなど、弾力的な取り扱いができればと感じた。また、震災からの復興に向かう中で昨年は台風10号災害があったことから、目の前の災害復旧・復興にも活用できれば、と感じた。

■宮城県■■■■■■■■■■

 ▽仙台市…県内では被災者が直接受け取る補助金や支援金は対象となるが、市町村が被災者のために整備する施設(ハード事業)については原則対象外とされている。復興交付金の対象とならない事業(避難道路の整備や任意での集団移転における道路や上下水道などインフラ整備など)について対象として認めるよう、国がガイドラインの策定などを検討してほしい。

 ▽塩釜市…東日本大震災復興基金交付金分については、被災者支援が原則となるため、事業の線引きに苦慮している。

 ▽気仙沼市…県内における基金使用可能な対象事業はソフト事業に限られている。一方、岩手県内ではハード事業への充当も可能である。ハード、ソフトの区別のない柔軟な事業充当が必要である。

 ▽多賀城市…県の要綱に定める事業類型に合致させる必要があり、その使途について一定の制約があるため、復興のための事業であっても対象とならない事業がある。

 ▽岩沼市…総務省からの特別交付税については被災状況に応じて財源の大きさが決まるため、自治体間のサービス合戦に陥る可能性がある。また、市町村ごとに事業の独自性を出しやすい半面、同じ被災者(被災状況)であっても、生活再建方法(市内・市外、現地・移転など)によって支援を受けられない可能性が生じるため、県が市町村間の調整役を担うべきだ。

 ▽栗原市…調整というわけではないが、ハード事業にも基金充当ができれば、ソフト事業と組み合わせて、より市町村の独自性が出せて創造的復興に資する基金になると考える。

 ▽大崎市…取り崩す際に積算根拠を正確に把握し、正確な事業費を取り崩すことが大切。

 ▽七ケ宿町…自主防災活動交付金で購入した資機材などの有効利用および活用訓練を実施している。

 ▽利府町…本町の復興基金は基金交付金分、住宅再建分(総務省からの特別交付税を主とした基金)と災害対策支援分(寄付金)の3本で運用する。

 ▽南三陸町…1回目に交付された分が使途の自由度が高いのに比べ、2回目に交付された津波被災住宅支援分は使途が制限されているため、最終的に過不足額が生じる見込みである。

■福島県■■■■■■■■■■

 ▽郡山市…復旧・復興を進めるに当たっての財政運営に苦慮していた時、基金という形で市町村の裁量により使用できる財源が確保できたことは被災自治体にとって非常に大きな助けとなった。一方、特別交付税を原資とし、県を通した交付金により交付された部分の使途についてはソフト事業を中心として、ある程度限られたものとなる。そのために新たな事業を立案する余裕があまりなく、その時点において真に必要な予算を編成した中で、復興に資するものと
位置付けられる事業の財源として充当していったのが現実である。
 
 ▽国見町…今回の復興基金はある程度、市町村の裁量で真に必要な復興・復旧事業に充当することができるとともに、基金造成で複数年にわたる中長期的な制度設計も可能だ。市町村の立場として最も効果的で最良な制度だといえる。

 ▽矢吹町…復旧から復興へと長期間にわたり多額の事業費で継続的に事業を実施していかなければならないため、時間の経過とともに財源の不足が生じる可能性が高くなるため、震災復興特別交付税や国県の補助金、その他特定財源を有効に活用し、基金をなるべく長期にわたって効果的に充当していくことで、事業の継続による復興の推進が図られる。

 ▽浅川町…復興に向けて市町村が独自に取り組む事業に充当できる。要件を満たすことにより、市町村の裁量で自由に使えることが良い。

 ▽楢葉町…事前申請などの必要がなく事業を進められるため、迅速な対応が可能である一方、事業の性質によっては賠償請求対応となるものもある。「国県補助および特別交付税対象」「取り崩し型復興基金対象」「賠償請求対象」の明確な区分が必要となる。

 ▽富岡町…被災直後、被災自治体は当面、予算の範囲内で被災者への対応や復旧事業を実施しなければならなかった。予算の心配をしながらの災害対応では、行き届いた支援や復旧をスピード感をもって実施することはできない。自由度の高い基金や交付金を速やかに、国や県によって交付されることが重要である。

 ▽大熊町…町はほぼ全域が帰還困難区域に該当するため、現時点で必要な事業に対し基金を充当している。そのため復興計画策定業務に充当した経緯がある。

 ▽双葉町…津波被災分など使途が限定されている交付金もあるため、被災の状況および自治体の状況に応じた自由度の高い交付金が必要である。

 ▽新地町…積み立て、取り崩しの漏れのないように留意しなければならない。


2017年03月14日火曜日


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