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<ホテルの仕事人@仙台>名前呼び距離縮める

フロントでチェックイン対応する山本さん

 接客から裏方までさまざまな人たちが働くホテル。心地よいサービスの裏側には、各分野で頑張るスタッフがいる。多様化するニーズに対応し、より良いサービスの実現を求め、仙台市内のホテルで奮闘する人々を追った。(報道部・江川史織)

◎江陽グランドホテル宿泊部フロント課 山本哲也さん(43)

<客全員を素早く>
 「お帰りなさいませ」
 仙台市青葉区の江陽グランドホテルの宿泊部フロント課副長、山本哲也さん(43)が、外出先から戻った客に名前を呼び掛けながら部屋の鍵を手渡した。
 名前も部屋番号も告げていない客は一瞬戸惑う。そして、山本さんが自分の顔と名前を覚えていることに気付いて驚く。
 山本さんは1996年の入社。配属された和食調理部にはお酒に詳しい人、テーブル設営が早い人など、仕事ができる人ばかり。「自分には勝てるものが何もない」と思い悩んだ。
 翌97年、フロントやドアマンを担当する宿泊部に異動になり、自分にできることを考えた。「お客さまの顔や名前なら覚えられるのではないか」。学生時代から、高校野球や社会人野球の選手名、所属チームを覚えるのが得意だった。
 自信はあった。が、一日に何十人もチェックインに訪れるため、さすがに記憶が曖昧になる。客の顔を有名人に例えたり、髪形や上着の社章に注目したり。特徴をメモに残し、担当した客全員を素早く覚えた。

<出迎えに生かす>
 宴会や会議の際にも記憶力が役に立った。社長や議員は受付を通さずに入り口で出迎え、直接会場まで案内する決まりになっている。顔と名前と一緒に車の車種とナンバーも覚えて、次回以降のスムーズな出迎えに生かした。
 一度は記憶した客の数はこれまでに数千に上る。名前を呼ばれた客は最初は驚き、感激してリピーターになる人がいる。インターネットの予約サイトの口コミで山本さんの対応を褒める人がいる。
 「名前を呼ぶことで距離がぐっと近くなるように感じる。会話が生まれ、逆にお客さまが私の名前を覚えてくれることもあるんですよ」。客に喜んでもらえることが何よりの励みだ。


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2017年03月13日月曜日


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