宮城のニュース

<ホテルの仕事人@仙台>氷彫刻 宴会場彩る

リサイタルディナーで完成した作品を説明する中川さん

 接客から裏方までさまざまな人たちが働くホテル。心地よいサービスの裏側には、各分野で頑張るスタッフがいる。多様化するニーズに対応し、より良いサービスの実現を求め、仙台市内のホテルで奮闘する人々を追った。(報道部・江川史織)

◎仙台国際ホテルフレンチレストラン料理長 中川浩司さん(44)

<一瞬の美 伝える>
 「解けていくのを見て寂しくないかと聞かれるが、時間とともに姿を変える一瞬の美しさを見せたい」と話すのは、仙台市青葉区の仙台国際ホテルでフレンチレストランの料理長を務める中川浩司さん(44)。宴会場を彩る氷彫刻を手掛けて20年以上になる第一人者だ。
 同ホテルで5日にあったオペラ歌手のリサイタルディナーで、中川さんの作品が披露された。歌われた曲はドボルザークのオペラ「ルサルカ」の月に寄せる歌。三日月を背景に、高さ2.1メートル、幅1.5メートルの人魚姫の氷彫刻を仕上げた。
 約1カ月の構想を経て、1日に作業に着手した。場所はホテルの地下2階にあるマイナス7度の巨大冷凍庫。レストラン業務の合間や夜間に作業をした。初日は設計図を基に、高さ1メートル、縦25センチ、横55センチの氷柱12本を並べた。6人で1日がかりの重労働だ。
 2日目はチェーンソーでの粗削り。氷を次々と切り落とし、数分で人魚姫のシルエットを浮かび上がらせた。のみで細部を仕上げ、3日目に完成した。「宴会が終わるまでの約3時間で氷は解けていく。それを想定し、細い部分の削り方を加減する。ぎりぎりの見極めが難しい」と語る。

<担い手育成 尽力>
 氷彫刻はバブル時代、企業の宴会や披露宴などで頻繁に飾られた。50万〜100万円の注文が年に20〜30回あり、主要ホテルの洋食調理人の多くが氷彫刻の手法を学んでいたという。現在は年数回に注文が減少。業界内の氷彫刻師も少なくなっている。
 市内の現役の氷彫刻師は約10人。講習会などで中川さんの指導を受けたことがある人がほとんどだ。東京の系列ホテルから指導を受けに訪れる若手調理人もいる。「その場で見た人にしか分からない透明感や立体感。氷彫刻には人に感動を与える力がある。絶やしてはいけない文化だと思う」


関連ページ: 宮城 経済

2017年03月17日金曜日


先頭に戻る