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交付金受領後に退社要請 被災農家と和解

 東日本大震災で被災した農家の参加を要件とする交付金事業を巡り、宮城県白石市の農作物生産販売会社「蔵王グリーンファーム」が交付金受領後に退社を求めてきたとして、名取市の被災農家の夫婦が同社に約1790万円の損害賠償を求めた訴訟は16日までに、仙台地裁で和解が成立した。同社が解決金500万円を支払う。
 訴状などによると、同社は2011年6月、名取市の被災農家5人を役員に招き、国や宮城県から計1億円の震災農業生産対策交付金を受け、ビニールハウス132棟と出荷施設を建設。夫婦は仲間と野菜を栽培していたが、15年3月、「年齢的に退社する時期だ」と1カ月後の退職を迫る「退社願い」を一方的に送付された。
 夫婦は「最初から交付金目当ての誘いだった」と16年4月に提訴した。
 和解は、退社願を無効とした上で、和解が成立した今年2月15日付で夫が役員を辞任し、妻が退職するといった内容。
 夫婦側の弁護士は「請求内容がおおむね認められた」と話した。同社は取材に応じなかった。
 同事業は原則5戸以上が参加し、被災農家が半数以上を占めることが要件。ただ、他の役員4人も14年夏ごろまでに辞意を伝えた後は出社しておらず、勤務実態がない。同社は1年以上、要件を欠いている状態にあったことを国や県に報告していなかった。
 同社の指導監督を担う白石市農林課は和解後、交付金返還も視野に国との連絡調整を本格化させた。担当者は「事業の要件上、被災農家を呼び戻すか別の農家を取締役にする必要がある。今月末までに状況を報告させる」と語った。

[東日本大震災農業生産対策交付金]被災した農家が営農再開に向けてビニールハウスや農業機械を整備する際、国が事業費の2分の1を上限に交付する。都道府県が上積みできる。交付対象は農家5戸以上で組織する団体や農業生産法人など。被災者が半数以上を占めるなどの条件がある。


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2017年03月17日金曜日


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