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<HSBC>ボランティアに重点

岩手県であった昨年の英語キャンプを振り返り、次の活動の打ち合わせをするHSBCの大畑さん(左から3番目)、藤田さん(左)ら=東京・日本橋の同社東京支店

 CSR(企業の社会的責任)活動の積極展開は、欧米を中心に世界企業の常識になっている。その流れで、東日本大震災では海外の企業から多くの支援が寄せられ、震災7年目の今も続く。CSRの最前線に立つ外資系企業の取り組みと狙いを追った。(「被災地と企業」取材班)

◎トモノミクス 外資系CSR最前線[1]

 「収益を世間に返す」「社員が関わる」。香港上海銀行などで構成する世界最大級の金融グループHSBC(英国)のCSR方針はシンプルだ。被災した東北に拠点はないが、2011年から岩手県で復興ボランティアを続ける。
 滝沢市の岩手山青少年交流の家で昨年10月にあった1泊2日のハロウィーンキャンプには社員と児童ら計約250人が参加。黒のビニールをまとって魔法使いに仮装し、盛り上がった。
 国際企業の強みを生かし、12年春には「えいごdeキャンプ」を開始。NPOのNICE(東京)と連携し、冬はスキー、夏はテントで岩手の自然を満喫する。これまで24回企画し、被災児童延べ約1900人と交流した。初年の12年の開催は3回。16年は7回に増えている。
 日本を含む70の国・地域に従業員24万人を擁する同社は、CSR活動を「コーポレート・サステナビリティー」(CS=企業の持続可能性)と呼ぶ。在日支店CS部マネジャーの大畑洋二さん(36)は「会社の持続性を追求する上で必要な活動」と位置付ける。
 活動原則の一つが、好不況にかかわらず「税引き前利益の0.5%を事業拠点に還元する」。15年は2億ドル(230億円)を世界各地のNPOなどに贈った。
 もう一つは「社員の積極的な関わり」だ。英語キャンプの参加社員は延べ約270人に上る。
 寄付とボランティアを軸とした活動が、なぜ会社の持続性につながるのか。
 20回以上参加した大畑さんは「ボランティアは社員の意識を向上させる重要な機会」と捉える。ボランティアに熱心な社員が近くにいると、刺激を受けた同僚の仕事への熱意が増すという。長い目で見れば、本業へのプラスの効果が期待されるという考え方だ。
 金融法人部の藤田浩孝さん(35)は11年、被災地の特産品を社員らに販売する企画を考案した。被災地の商品を自ら買い入れ、計16回の開催で約650万円を売り上げた。
 藤田さんは「ランチ1回分を支援に充ててもらっている。風化を防ぐ役割もある」と手応えをつかむ。
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 企業の社会的責任(CSR)。21世紀、世界の企業に浸透し始めた概念だ。東日本大震災後、東北の被災地には無数の企業が足を踏み入れ、試行錯誤を重ねた。艱難(かんなん)の地へ、生活の糧を、癒やしを、希望を。企業を突き動かした衝動は何だったのだろう。あれから間もなく6年。CSRを足掛かりに、あの日に返って経済社会を展望する。見えてくる明日を、私たちは「トモノミクス」と呼ぶ。


2017年03月19日日曜日


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