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<男鹿市長選>複合観光施設 争点に

閑散とする平日午前のJR男鹿駅前。市中心部の活性化が市の重要課題だ

 任期満了に伴う秋田県男鹿市長選(4月2日告示、9日投開票)で、市が2018年7月の開業を目指してJR男鹿駅近くに整備を計画する複合観光施設が争点に浮上している。施設の整備を巡っては市議の間に批判があり、昨年12月の市議会定例会で、3選を目指す渡部幸男市長(65)の立候補断念と引き換えに関連予算案が可決された経緯がある。立候補予定者2人は「推進」と「慎重に検討」に分かれており、市長選で論戦を繰り広げそうだ。(秋田総局・藤井かをり)
 市長選には、渡部市長から出馬要請を受けた元県議菅原広二氏(65)と、施設整備に慎重な元市議佐藤誠氏(60)が、ともに無所属で立候補を表明している。
 菅原氏は施設の整備推進を公約に掲げる。JRと連携し、男鹿駅舎を施設近くに移して駅前再開発を検討するとしており、施設を核に市中心部の活性化に取り組みたい意向だ。
 一方、佐藤氏は「進め方が強引で、市民の意見を取り入れていない。市全体に経済効果をもたらす道筋が見えてこない」と語り、計画の白紙撤回を含めて再検討する考えを示す。
 市議会では15年6月定例会で、集会などで市民の同意を得ることを条件に施設の基本設計予算が可決された。だが、16年6月定例会では市民の合意形成が不十分などの理由で実施設計費分を削除した予算案が可決され、12月定例会でも関連予算案が削除される可能性があった。
 施設整備費約9億円のうち約2億円が秋田県の助成で、その条件となるのが16年度末までの実施設計着手。12月定例会で関連予算案が通らなければ、計画が頓挫する事態もあり得た。
 渡部市長は12月定例会初日の2日に3選を目指す意向を表明したが、最終日の19日に一転して立候補を断念。自らが身を引くことで事態の打開を図ったとみられる。結局、関連予算案は可決された。
 唐突に見える立候補断念には、施設開業を「観光の起爆剤となる最後のチャンス」(市議の一人)と位置付ける渡部市長の思いが透けて見える。市内では、1998年のなまはげライン(男鹿中央広域農道)の全線開通で日帰り客が増えた一方、滞在客は減った。宿泊施設を中心に地域経済は疲弊し、市長は危機感を募らせていたという。
 ただ、施設の整備に関しては、商工関係者が「にぎわいが生まれ、周辺商店に波及効果が生まれる」と歓迎する一方、市民には「失敗すればリスクが大きい」「詳細な計画が伝わってこない」などの声がある。
 同市の60代主婦は「人口減少が進み、衰退していく男鹿をこれ以上見ていられない。施設整備の議論が観光やまちづくりを考えるきっかけになればいい」と話し、市長選での活発な論戦を期待する。

[複合観光施設]男鹿市内の周遊観光と地域活性化の拠点を目指す公設民営の施設。計画では、約1万4000平方メートルの県有地に平屋一部2階の観光施設と約100台分の駐車場を整備する。施設内には水産物などの販売スペースやレストラン形式の飲食スペース、水産加工に使用する急速冷凍設備などを設ける。年間18万人の利用を見込む。


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2017年03月21日火曜日


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