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<立ち止まるTPP>経済的利点農業にも必要

 昨日の敵は今日の友。そんな格言が思い浮かぶほど、かつて国益を巡り、しのぎを削ったキーパーソンとの対話は友好的だった。

◎東京検分録

 環太平洋連携協定(TPP)交渉の責任者だったマイケル・フロマン前米通商代表が21日、東京であったセミナー「トランプ時代の日米経済関係」(日本経済新聞社主催)に出席した。
 トランプ政権がTPP離脱を表明する中、「世界ルールの構築に向け、日本は以前より重要な役割を果たせる」と強調。苦心の末の合意がいつか日の目を見るよう願う思いは日本側の出席者と一致した。TPPを重視するのは交渉当事者だった同氏だけではない。自民党農林族の幹部はトランプ政権の出方を見定めようと今月上旬に訪米し、政財界関係者と意見交換した。
 10日の党農林部会では「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の議論は進む。米国抜きで貿易ルールが決まることを米国はもっと懸念すべきだ」(小野寺五典衆院議員)といった議論が交わされた。そうした論調に冷や水を浴びせる意見も。「TPPが発効せず良かったと思っている農家は多い」。農村部選出議員は自由化推進論者のように映るのを嫌う向きもある。
 西川公也党農林・食料戦略調査会長は、米国が2国間交渉でTPPを上回る関税削減を求めることを想定し「そうなれば農業を守り切る自信はない。TPPは発効せず、2国間交渉もなく、農業強化予算は取れる、そんな甘い世の中でない」と言い切った。
 フロマン氏後任の米通商代表に指名されたロバート・ライトハイザー氏は、農業分野に関し「日本は第一の標的」と明言した。日本農業はそれに備え、競争力を付けなければならない。
 フロマン氏は講演で、トランプ氏躍進を許した背景として米国内の格差に言及。「自由化が前進し、経済的メリットを万人が享受できることが必要」と語った。これは日本にも当てはまる。貿易自由化が日本の経済成長に寄与するならば、政府はそのひずみだけを農家に押し付けてはならない。(東京支社・小木曽崇)


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2017年03月26日日曜日


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