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<東北の本棚>地域力育み社会と結ぶ

環境社会の変化と自然学校の役割 佐々木豊志 著

 環境問題への意識が高まり、自然学校は1990年代に全国各地で生まれた。野外で体験学習を提供する学びの場として親しまれているが、定義は曖昧だ。栗原市の栗駒山中で96年から「くりこま高原自然学校」を運営する著者が全国の実態を探り、自然学校が目指す理念や特徴、社会の中で果たすべき役割について多面的に考察した。
 自然学校とは公的教育を担う学校ではなく、「自然塾」「自然楽校」などの名称を持つ事業体を指す。著者は、北海道から沖縄まで34団体を無作為に選び、代表者にアンケートとインタビューをして理念や特徴を尋ねた。その結果、(1)自然体験から学び、生きる力を育む教育力(2)人と、人・自然・社会をつなぐ力(3)地域や社会の課題を見つけ、解決に取り組む力−の3点が自然学校の基軸になっていると定義付ける。3点を併せ持つことで相乗効果が生まれ、社会的企業として新たな事業展開が可能になると指摘する。
 個人事業として著者が始めたくりこま高原自然学校は、不登校の子どもや引きこもりの若者を受け入れ、関係団体と連携して支えてきた。2008年の岩手・宮城内陸地震、11年の東日本大震災を経て、林業関係者らと共に森づくりや森林資源の活用にも取り組んでいる。自らの実践を踏まえ、地域の人的・物的資源や潜在力を引き出し、つなぐ「ハブ機能」を果たすことが自然学校に求められていると今後の展望を示す。
 著者は1957年生まれ。遠野市出身。宮城大大学院事業構想学研究科博士課程修了。NPO法人「日本の森バイオマスネットワーク」理事長などを務める。本書は博士論文に大幅に加筆してまとめた。
 みくに出版03(3770)6930=2160円。


2017年03月26日日曜日


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