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<災害公営住宅>入居開始 住民団結へ一歩

今泉災害公営住宅で行われた内覧会。敷地内の工事は終わっていないが、地区内への帰還第一歩となる

 東日本大震災で壊滅的被害を受けた陸前高田市気仙町今泉地区で1日、災害公営住宅の入居が始まる。土地区画整理事業の造成地に、分散した元住民が戻る。一方、事業の長期化で帰還が進まない恐れがある。入居者らは今泉を盛り上げようと、集いの拠点づくりを進める。
 市営住宅今泉団地(61戸)で3月19日、内覧会があった。入居予定47世帯の多くは今泉地区在住者。参加者は再会を喜び、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 市は、1年間家賃を徴収しない異例の措置を取る方針。周辺は復興工事真っ盛りで、地区内には診療所以外ない生活環境だからだ。それでも、パート菅野孝子さん(68)は「長かった。不安はあるが、ようやく生まれ育った場所に戻れる」と喜ぶ。
 震災前、約580世帯約1700人が暮らした今泉地区は津波でほぼ壊滅。住民は散り散りになった。市外への転居も少なくない。
 民生委員の佐藤智子さん(71)は、他の3人の委員と元住民が比較的多い市内の仮設住宅で高齢者の見守りに努めてきた。「仮設暮らしの長期化に加え、地域を離れて気力をなくした人もいる」と振り返る。
 土地区画整理事業を進める市は2017、18年度に高台の宅地引き渡しを目指す。かさ上げ地は3月、20年末までと最長1年9カ月遅れる見通しを示した。
 昨年末の仮設住宅入居者への再建意向調査では、高台の回答が105世帯、かさ上げ地は17世帯にとどまる。事業の遅れや街の将来像の不透明さが、帰還意欲を削りかねない。
 佐藤さんら民生委員は、今泉団地で体操や手芸などのサロンを開く「姉歯絆会」の設立準備を進める。姉歯は今泉地区の気仙川に架かった橋の名前。入居者だけでなく、家の再建を考える人の参加も促す。
 自らも今泉団地に入る佐藤さんは「若者が流出し、震災前より高齢化率は高くなる。団結して暮らしていきたい」と力を込める。

[今泉地区]気仙川河口付近にあり、藩制時代の気仙郡の中心地で古い街並みが残っていた。七夕行事「けんか七夕」で知られる。市は復興計画で郡政の拠点だった「大肝入()屋敷」や街道の復元を盛り込んだ。土地区画整理事業で再整備し、小学校や保育所などを建設する。災害公営住宅は今泉団地と長部団地(13戸)がある。


2017年04月01日土曜日


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