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山形の主力品種「特A」陥落 検査変更影響?

18年に本格デビューをする新品種「雪若丸」のポスター。山形県は本年産での特A獲得を目指す=県庁

 山形県産米の主力品種「はえぬき」と新品種「雪若丸」が、日本穀物検定協会の食味ランキングで最高評価「特A」を逃した。専門家の間では、2016年産はえぬきの評価は高く、検査方法の変更が22年間続いた特Aを逸した一因だと推測する声が上がる。一方、雪若丸は「つや姫」に次ぐ高価格帯を目指していただけにブランドイメージへの影響を懸念する関係者は多く、県は本年産米での特A取得に向け本腰を入れる。(山形総局・宮崎伸一、酒田支局・亀山貴裕)

<前年より高品質>
 コメはでんぷん「アミロース」やタンパク質の含有率が低い方が、粘り強く食味が優れるとされる。県が独自に収集したデータでは、16年産はえぬきは県平均でアミロース18.8%、タンパク質6.8%と、特Aを取った15年産に比べ、ともに0.1ポイント低い。
 寒河江市の農家土屋喜久夫さん(63)は「16年産は低タンパクで最高のものができたと思っていた」と、結果が信じられない様子。県の担当者も「データ上は昨年より高品質なのだが」と首をかしげる。
 関係者の間では、今年から一部変更された検査方法が評価結果に影響を与えたとの見方が出ている。

<2種類を混ぜる>
 検定協会によると、山形県産はえぬき、宮城県産ひとめぼれなど道府県単位で産地を統一している銘柄は、昨年まで1地区1種類のコメを選び検査対象にしていたが、今年は産地内の2地区を選んで2種類のコメを混ぜて判断したという。
 専門誌「月刊食糧ジャーナル」の鶴田裕編集長は「同じ銘柄でも産地が異なるコメを混ぜると、品種本来の食味が変化してしまう」と説明する。
 庄内みどり農協(酒田市)の阿部茂昭組合長は「他県も新品種を導入してコメ全体の品質が底上げされている」と話す。その結果、はえぬきなど20年以上前に誕生した品種は相対的に評価が下がったと分析する。

<「新食感」が売り>
 各産地が特A獲得にこだわる背景には、18年度のコメの生産調整(減反)廃止がある。コメ余りで米価の先行きに不安を抱える中、頼りになるのが市場や消費者に品質の高さを分かりやすく訴える特Aのお墨付きだ。
 業界関係者の間では、16年産はえぬきは特A陥落後も、長年積み上げてきた実績から評価は依然として高い。「特Aを逃したダメージは、実績のあるはえぬきよりもデビュー前の雪若丸の方が大きい」と指摘するのはコメ卸大手「木徳神糧」(東京)の三沢正博専務。スタート時点の評価が市場価格の形成に影響を与える可能性があるからだ。
 雪若丸はかみ応えと粘りが両立する「新食感」が最大のセールスポイント。ただ、食味ランキングでは柔らかい食感の方が高評価を得る傾向があると言われており、県は程よいかみ応えを残しつつ、粘り強さを引き出せるよう営農指導を徹底する。
 県県産米ブランド推進課の大沼裕課長は「本年産はぜひとも特Aを取り、18年の本格デビューを迎えたい」と巻き返しを誓う。

[コメの食味ランキング]日本穀物検定協会が全国の代表的な産地品種を食味検査し、「特A」をトップに5段階のランキングを毎年発表している。検査はエキスパートパネルと呼ばれる同協会が認定した専門家が行う。1銘柄につきパネル100人がコシヒカリを基準米として、外観、香り、味、粘り、硬さ、総合評価の6項目を比較審査する。


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2017年04月02日日曜日


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