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生後10日で被災 笑顔で新1年生に

入学式を終えて剛さんに甘える彩花さん

 岩手県釜石市小佐野小(児童323人)で7日、入学式があった。新入生55人の中に、生後10日で東日本大震災に遭った若生彩花さん(6)の笑顔も。「多くの人に支えられ、ここまで成長した」。まな娘の晴れ姿を父剛さん(44)が見守った。
 震災の揺れが襲ったとき、剛さんは3月1日に生まれた彩花さんの出生届を提出しようと岩手県大槌町の町役場にいた。顔見知りも多い。みんなに祝福された。
 その直後の津波。暮らしていたアパートも被災した。彩花さんは釜石市内陸部にある妻成美さん(39)の実家にいて無事だったが、再会できたのは10日後だった。断水が続く中、ミネラルウオーターをストーブで温めて沐浴(もくよく)させたと、後になって聞かされた。
 町役場も津波にのまれた。「おめでとう」。あのとき声を掛けてくれた町職員が何人も犠牲になった。なじみのすし屋の主人も、焼き鳥屋のおかみも、彩花さんの誕生を喜んでくれた人々が…。「犠牲になった人も空の上から見守っている。感謝を忘れずに育ってほしい」と剛さんは願う。
 復興途上の街並みを見て「なぜ新しい家がたくさん建ってるの」と尋ねられ、答えに困ったことがある。必要以上に震災を背負い込むことはないが「被災地の将来を担う世代。少しずつ震災のことを伝えていきたい」。
 入学式を終え、お気に入りのピンクのランドセルを背負った彩花さんは「運動会が楽しみ」と、あどけない笑顔を剛さんに向けた。


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2017年04月08日土曜日


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