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震災関連本盗難相次ぐ 頭抱える図書館

盗難被害が続く仙台市民図書館の震災関連資料コーナー=仙台市青葉区

 東日本大震災に関する書籍や資料を集めた被災地の一部の公立図書館の特設コーナーで、盗難被害が相次いでいる。被害は判明分だけで計270冊以上に上り、盗難防止装置がない施設で目立つ。装置導入には多額の費用がかかり、被害を防ぐため閲覧を制限すれば「教訓を広く伝える」本来の趣旨に反する。心ない行為への対策が打てず、関係者はジレンマを抱える。

 河北新報社が岩手、宮城、福島3県の県立図書館と仙台市民図書館、岩手大、東北大、福島大の各付属図書館の7館に取材したところ、行方不明の震災関連資料は3月現在、累計で仙台市民図書館が218冊、福島県立図書館が48冊など。いずれも盗まれたとみられる。
 7館は震災後、共同キャンペーンとして震災関連の資料の収集、保存、公開に取り組んでいる。対象は一般書籍、各種調査資料、自費出版物など多彩。被害が多い仙台市民、福島県立の両図書館はともに2012年に震災資料コーナーを開設し、被害は手続きなしで誰でも手に取って閲覧できる開架式の同コーナーで発生している。
 両館に共通するのは、貸し出し手続きをせず館外へ書籍を持ち出すと警報が鳴る盗難防止装置がない点だ。仙台市民図書館では他の書籍を含め年間約3000冊が行方不明になっている。他の5館には装置があり、震災関連資料の被害は多くても宮城県図書館で6冊など1桁台にとどまる。
 盗難防止装置導入について仙台市民、福島県立の両図書館は「予算上、現状では難しい」などと説明。盗難を防ぐため閉架式にするなどの閲覧制限は「有効だが、教訓を広く知ってもらうという本来の趣旨に合わない」と実施に二の足を踏む。
 仙台市民図書館の星博之さん(51)は「閲覧を制限することで書籍を通じて震災の教訓を得られないことの方が、市民にとっては不利益だ」と明かす。今後も開架を続ける考えだが、自費出版物や自治会の会報などは再版が難しいものもあり、対応に頭を抱える。
 星さんは「無断持ち出しを注意するパネルなどを張り出し、モラルに訴えるしかない」と話した。


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2017年04月08日土曜日


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