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岩手沿岸、自主防災組織率 半数が震災前以下

 東日本大震災で被災した岩手県沿岸12市町村で、住民同士で防災訓練や災害時の救助に当たる自主防災組織の組織率に地域差が生じている。総世帯数に対する組織加入世帯数の割合で100%は4市町村にとどまり、半数が震災前水準を下回る。被災者の生活再建の長期化や高台移転による地域住民の離散が影響し、今後の改善の見通しは立っていない。
 12市町村の震災前後の組織率は表の通り。2016年度は6市町村が震災前の水準を下回り、内陸を含む県平均の84.6%を上回るのは5市町村だった。
 田野畑村は2010年度の49.8%から半減し、16年度は12市町村で最も低い24.5%。沿岸地区200世帯の高台移転に伴う住民の離散で一気に低下した。
 大船渡市は震災前からの100%を維持する。防災組織があるのは市内127地区のうち105地区。組織のない地区の住民は婦人防火クラブなどの消防組織に加入している。
 宮古市の16年度は49.3%で、震災前より12.5ポイント低下した。市危機管理課の山本克明課長は「生活再建した被災者の多くは新しい地域での生活になじみ切れていない」と指摘する。
 震災を機に組織率が向上した自治体もある。釜石市は16年度に50.6%を達成し。10年度より8.6ポイント上昇した。内陸の地区で防災意識が高まり、住民の組織加入が進んだ。
 ただ、市の担当者は今後伸び悩むと予測する。「組織づくりには顔の見える人間関係が必要。さまざまな地区の人が入居する災害公営住宅のコミュニティー形成には時間がかかる」と説明する。
 岩手県内で整備が計画される災害公営住宅計5694戸の完成率は1月末現在で75.9%。土地区画整理事業などで造成する民間用宅地計7811戸の整備率は47.2%にとどまる。多くの被災者が生活再建の途上にある。
 県総合防災室の山本卓美防災危機管理担当課長は「災害時に人的被害を最小限に食い止めるには自主防災組織が不可欠。被災地のコミュニティー支援に重ねて組織結成を働き掛ける」との方針を示す。


2017年04月13日木曜日


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