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福島の防災教育 現状発信できる力を

町の地図などを使い、原発事故の状況や復興について学ぶ児童ら=福島県三春町の富岡一小

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の複合災害に遭った福島県の防災教育は、主に津波と地震被害に見舞われた他の被災地と異なる事情が絡む。近年問題化する原発事故に起因する子どもへのいじめの解消も念頭に置き、放射線教育と古里学習を加えた新たな枠組みを構築。福島の現状を自ら発信し、周囲の理解を促す力を身に付けてもらおうと懸命だ。(報道部・菅谷仁)
 福島県内の小中学校では、原発事故直後から放射線教育を実施。放射線の性質や食物の安全性などについて各校の教員らが試行錯誤を重ねてきた。
 現場の取り組みを踏まえ、県教委は2014年度以降、放射線教育と防災教育のモデル校を指定。成果を指導資料にまとめ、県内全小中学校に配布してきた。
 県外に住む原発事故避難者の子どもがいじめに遭う事態が昨年11月から相次いで発覚し、状況が変わった。
 県教委義務教育課は「放射線の知識不足に加え、なぜ原発が双葉地方にあり、多くの人が古里を離れなければならなかったのかに関して、周囲の無理解がある」と分析。「放射線の知識を持つだけでは駄目。古里の現状を学び、感じたことを周囲に伝える力が必要だ」と判断した。
 県教委は本年度、「地域と共に創る放射線・防災教育推進事業」に再構築し、県全域の7校をモデル校に指定。古里の風土や現状を、被災地支援者とも連携して教えている。11月には子どもたちによる発表会を開く予定だ。
 現在も福島県三春町に避難する富岡町富岡一小と二小。全児童はそれぞれ6人と5人に減ったが、生まれて以来、郡山市など避難先で生活し、富岡を知らない子どもたちが入学してくることを想定した準備を進める。
 富岡一小の岩崎秀一校長は「まず『富岡の学校に入学したのはなぜか』から教えないといけない」と語る。同様に三春に避難中の富岡一中(生徒8人)、同二中(11人)の計4校は16年度から、発信力を養う教育を先行して試みている。
 放射線の知識に加え、6年生は避難先で暮らすことになった経緯を学習。発表を通じて自ら説明する力は徐々に付いているという。
 県教委義務教育課は「福島の現状を正しく伝えることは大人でも難しい。廃炉までの40年間、子どもとともに教員も絶えず学び続ける必要がある」と話す。


2017年04月23日日曜日


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