岩手のニュース

<動き出す中心市街地>生き残りへ商業者模索

2回目の「まちゼミ」に向けて話し合いを重ねる商店主ら

 東日本大震災で壊滅的被害を受けた中心市街地が、再生に向けて動きだす。岩手県の気仙地区から、にぎわい創出の現状と課題を伝える。(大船渡支局・坂井直人)

◎岩手・気仙地区から(上)陸前高田

 陸前高田市の中心市街地23ヘクタールが、鼓動を始めた。
 中核商業施設「アバッセたかた」が27日、開業する。3棟で構成され、計21店が入る。再整備される中心市街地には、施設周辺に自ら建物を整備する事業者を含め、約100店が出店の意向を表明した。海抜8〜10メートルにかさ上げした土地の引き渡しが順次進む。
 今月17日、婦人服や生活雑貨、化粧品を扱う「東京屋」の地鎮祭が現地であった。全壊した店舗を再建し、10月オープンを目指す。
 店舗面積は縮小するが、新たにカフェを併設する計画だ。「生き残りを懸けている。相乗効果を狙いたい」。社長の小笠原修さん(55)に危機感がにじむ。

<「まちゼミ」開く>
 2008年度の岩手県広域消費購買動向調査によると、陸前高田市の品目別地元購買率で婦人服は29%にとどまっていた。気仙沼市などへの買い物客流出は、震災前から顕著だった。
 震災後は仮設店舗が分散立地し、郊外に大型小売店が進出した。三陸自動車道の整備が進んだ結果、市外への移動が容易になった。
 「市民は買い物で遠方まで出掛けることに抵抗がなくなった。中心部での人の流れが読めない」と小笠原さん。急激な人口減にも不安を抱く。
 一部商業者は自ら動き始めた。商店主らが知識やノウハウを市民に伝授する「まちゼミ」だ。まずは来店してくれるファンを増やし、売り上げにつなげていく。
 昨年11〜12月にあった初回ゼミには16事業者が参加した。エステ店がメークの技を、和雑貨店はしゃれた風呂敷ラッピングを教えた。6〜7月に予定している2回目のゼミは、参加者がさらに増える見通しだ。
 全国各地でまちゼミを指南する自営業の松井洋一郎さん(48)=愛知県岡崎市=は「価値を生み出す努力が必要。市民を楽しませる店が集積すれば、それが強みになる」と強調する。

<出店踏み切れず>
 こうした取り組みの一方で、出店に踏み切れない事業主も少なくない。
 「ご用聞き」販売を行うヤマニ醤油(しょうゆ)高田営業所代表の鈴木泰治さん(39)は、震災後に起業したため、被災者向けのグループ化補助金を受けられなかった。「自宅の再建もある。売り上げ減の可能性がある中、借金はリスクが高い」と話す。
 市は本年度、震災後やこれから起業する人に独自の補助制度を創設する考え。安く借りられるチャレンジショップの整備も進め、資金力の弱い被災事業者らを支援していく。


関連ページ: 岩手 社会

2017年04月24日月曜日


先頭に戻る