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<復興相交代>政治の東北軽視 象徴

ひじかた・まさし 北海道ニセコ町生まれ。東北学院大卒。2006年荒蝦夷設立。主な著書に「震災編集者」(河出書房新社)、「ユージン・スミス楽園への歩み」(偕成社)など。荒蝦夷は12年、東日本大震災後の出版活動を評価され、出版梓会新聞社学芸文化賞を受賞した。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を巡る相次ぐ失言で今村雅弘復興相が26日、辞任した。復興の司令塔である閣僚らが繰り返す失態を、仙台市の出版社「荒蝦夷」代表として被災地の実情を発信し続ける土方正志さん(54)は「経済的側面でしか震災を測れない政治の無理解の表れ」と指弾する。(聞き手は報道部・村上浩康)

◎出版社「荒蝦夷」代表 土方正志さん

 東北は明治以来「白河以北、一山百文」と蔑視されてきた。「東北で良かった」発言は同じレベル。怒りより、驚きであぜんとした。「首都圏なら莫大(ばくだい)な被害になった」との文脈は、そもそも経済的損失の規模でしか震災を考えていないからだ。しかも復興相という立場。被災地に対する無理解の表れで、政治の東北軽視、東京中心主義が透けて見える象徴的な発言だ。
 安倍晋三自民党政権の「緩み」が指摘されるが、旧民主党政権で復興対策担当相だった松本龍氏に始まる震災対応を考えると、与野党問わず政治家全体の問題と捉えるべきではないか。少なくとも今後、復興相は東北出身者以外にやらせない方がいい。民間人登用も含めて、東北を真剣に考える人が就くべきだ。
 東北人の怒りは大きい。ただ、感情に任せて怒り、嘆くだけではなく、なぜ失態や失言が繰り返されるのか、一連の問題の「根っこ」を考えなければならないと感じている。
 根底にある無理解は、原発事故避難者へのいじめ問題にもつながる。私たちは震災と原発事故の被災者、被害者としての経験と「災害は決して人ごとではない」というメッセージを発信し続けなくてはならない。声を上げ続けることでしか、無理解を少なくしていくことはできないだろう。
 震災から6年が経過した。被災地は無我夢中で走り続けてきたが、一度立ち止まるべき時期に来ている。震災直後に掲げた「復興」がそのままでいいはずがない。政治や行政、研究機関、企業、メディア、一般市民などそれぞれの立場で一つ一つの施策、事業を総括、検証し、現状に応じて見直す必要がある。
 首都直下地震や南海トラフ巨大地震は必ず来る。東日本大震災からの復興を巡る問題の深層を明らかにし、東北自らが発信し続けなければ、政治はまた同じ過ちを繰り返すだろう。


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2017年04月27日木曜日


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