岩手のニュース

<新商業施設>再出発 被災店主ら希望託す

中心市街地のにぎわい再生に向け、被災した商業者たちが新店舗で再出発した

 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大船渡市のJR大船渡駅周辺地区に29日、商業施設がオープンした。「挑戦したい」「気軽に集える場になればいい」。人口減少などで取り巻く環境は厳しいが、被災した商業者はそれぞれ、新店舗に希望を託す。
 衣料品店「モンクール&スミレ」は、震災前より売り場面積を広くした。年配層の高級品に加え、より若い女性向けの手頃な価格の洋服、アクセサリーなども取りそろえ、3世代が買い物できる店づくりを目指す。
 店名も、長年親しまれた「ブティックスミレ」から変更した。代表の鈴木隆也さん(56)は「ゼロになったことで、逆にチャレンジして地域活性化の一助になりたい」と意気込む。
 本店と工場を再建した老舗菓子店「菓匠高瀬」は、1960年のチリ地震津波でも被災した。店長の高橋照直さん(46)は震災があった2011年3月11日、津波を直感し、先代から続くノート5冊分の和洋菓子のレシピを抱えて逃げた。
 それから6年以上が過ぎて特需は下火に。コンビニには質の高い洋菓子が次々並ぶ。不安と期待が交錯する。高橋さんは「うちでなければ買えない商品を考え、提供していかなければ」と自らに言い聞かせる。
 「理容おいしん」店主の及川文子さん(67)は、かつての店付近に帰ってきた喜びの半面、様変わりした風景に戸惑う。「被災して別の場所に移った知人たちが、店に気軽に立ち寄ってくれればいい」と願う。
 同居する長男の娘は、小学生ながら「美容師ってかっこいい」「やりたい」と、興味を持ってくれている。将来に期待し、それまでは、近く家族で帰郷する長女井上知子さん(43)と二人三脚で店を守っていくつもりだ。


2017年04月30日日曜日


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