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災害時の行動指針 被災首長の経験わが事に

 東日本大震災や大水害などを経験した全国の15市町村長が、当時の反省を踏まえた行動指針「災害時にトップがなすべきこと」を策定した。(1)平時の備え(2)直面する危機(3)救援・復旧・復興−の局面に分け、計24カ条にまとめた。

◎東京検分録

 「判断の遅れは命取りになる。特に、初動の遅れは決定的である」
 「被災経験がない首長は、自然の脅威を甘く、組織と人間の対応能力を過大に想定しがちである」
 「人は逃げないものであることを知っておくこと」
 住民の命が懸かる極限の現場をくぐり抜けてきただけに、単刀直入で示唆に富むメッセージが並ぶ。
 内閣府で4月10日に発表の記者会見があり、熊本地震で甚大な被害が出た熊本県益城町の西村博則町長は「私自身、災害に対してよそ事の面があった。この検証をしっかりと捉え、ぜひ自分事として取り組んでほしい」と呼び掛けた。
 東北からは陸前高田市、釜石市、石巻市、宮城県南三陸町の4首長が名を連ねた。記者会見の毎日開催を提言した佐藤仁南三陸町長は「積極的に情報を出し続けた結果、小さな町にボランティアと義援金が多く集まり、交流人口の拡大にもつながった」と指摘する。
 任期4年の首長にとって、大災害に直面するのは初の体験となるケースが多い。危機管理を本格的に学ぶ機会は少なく、防災担当の職員も数年で異動する。結果として、同様の失敗と批判が各地で繰り返されているのが実情だろう。
 「まさかの時に、トップにしかできない判断の重要性に気付かせてもらった」と一読した感想を話すのは、昨年11月に就任した山田裕一白石市長。「危険が迫っている状況をいち早く伝えるだけでなく、市民がはっきりと理解できる情報発信の仕方が大切になってくる」と気を引き締める。
 震災の記憶の風化が叫ばれる。首長たちの危機意識は大丈夫か。鍵は防災対策の不断の見直しと、政治の原点である住民対話を重ねることではないか。災害時の対応と限界を示し、一定のコンセンサスを得る努力が必要だ。(東京支社・瀬川元章)


2017年05月01日月曜日


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