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<熊本の教訓>制度工夫 業務認定も

宮城県南三陸町で、ブドウ畑にカキ殻をまいて排水溝づくりを手伝うデンカの新入社員。継続的な被災地支援の取り組みは熊本地震でも生きた=4月13日

 熊本地震の発生から1年が過ぎた。混乱を極めた被災地で、企業は支援活動の中核を担った。東日本大震災で芽生えた復興CSR(企業の社会的責任)。その意義は重みを増し、九州で生きた。(「被災地と企業」取材班)

◎トモノミクス 被災地と企業[36]第7部 社員ボランティア(下)おくりこむ

 「人数の減少は覚悟していたが、想定以上だった」
 昨年4月の熊本地震。がれき撤去などに当たったボランティアは、大型連休が明けると激減した。熊本県内のピークは5月4日の3951人。同6日には約4分の1に落ち込んだ。
 熊本県災害ボランティアセンター事務局長の桂誠一さん(50)は頭を抱えた。「連休中はボランティアであふれ、泣く泣く断るほどだった。足りていると思われたのかもしれない」
 熊本、大分両県で住宅の全半壊は4万2000棟を超え、一時19万人以上が避難所に身を寄せた。1カ月が過ぎても被災家屋の片付けなどの支援要請が相次ぎ、平日を中心に数百人のボランティアが不足した。
 広がる窮状を前に、九州経済連合会は会員企業に対し、従業員にボランティア活動を呼び掛けるよう要請。参加しやすい社内制度の整備を促した。

 国内の企業で、有給扱いとなる「ボランティア休暇」は十分浸透していない。厚生労働省によると2013年、従業員1000人以上の大企業の導入率が23.0%に上る一方、全体では3%に満たなかった。
 制度を作っても、活用されないケースもある。
 福岡県内の金融機関は熊本地震後、ボランティア休暇を取得できる日数を拡大した。従業員に利用を促したが、この1年間で取得者はいなかったという。広報担当者は「仕事が忙しい従業員が多い上、申請が面倒なので利用が進まないのかもしれない」と説明する。
 ボランティア休暇とは別に、災害ボランティアを業務として認め、復興支援に励む企業がある。

 福岡県大牟田市に工場がある総合化学メーカーのデンカ(東京)。熊本地震では工場の従業員を中心にボランティア活動を展開。今年3月までに計34回、延べ239人を送り込んだ。
 活動は平日に限定。会社が車を借り上げ、昨年5月までは週3回、毎回10人前後が参加した。大牟田工場総務課長の坂井義嗣さん(51)は「ボランティア需要は日々変わる。細く長く続けることが重要」と話す。
 派遣は東日本大震災をきっかけに始まった。派遣の際は、出張として交通費や宿泊費、日当を支給。16年度には新入社員研修にも取り入れ、被災した宮城県南三陸町を中心に活動する。
 「復興支援は社会的要請。ボランティアは企業や社員が社会の一員としての責任を果たすことだ」。デンカCSR・広報室長の清水宜行さん(53)は語る。
 ボランティア元年と言われる1995年の阪神大震災から22年。数々の大災害がCSR(企業の社会的責任)を覚醒させてきた。被災地と企業。そのつながりは今、復興の鍵となり、要となっている。


2017年05月02日火曜日


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